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音 拾 い
過去の日記(2005年)

T O P

2005.12.23. 作曲日記

耳はここ数日よくも悪くもならない。ずっと同じ状態だ。薬は酷く真面目に飲んでいるのにどうしてなのか。しかしもうどうにもじっとしていられなくなってDigital Performerを立ち上げてみた。『Travel of escape』を聴き返したら、笛の音がとても気持ち悪い。チューニングが狂ったかのような音だ。なぜだ! この前のように勝手に一音下がったというのとは違う、これは耳のせいなのか。ぞっとして途中で止めた。

それから、この曲の前に作りかけていたやつを開けてみた。静かでゆっくりとした曲調なのでこれなら何とか、と手探り状態で少しだけ音を足す。

曲作りが無理なら何かデモでもアップできないか、と思案していたら、何年も前に友人からもらったCDが出て来た。聴きたいと言ってくれたのでDATに録音したのを渡したら、CDになって帰って来たのだ。とても嬉しかった。93年。私はその頃まだバンドをやっていた。13曲も入っているが(YAPOOSの『Fool Girl』のカヴァー含む)、一部の曲の歌詞がどこにあるのか分からない事に気付いて驚いた。前Macに入ってる…のかなぁ?? 何だか面白いのでこの中からどれか、と聴き返してみたものの、やっぱりやめた。なんか、アレだ(何)。

でも懐かしいなぁ。『古響』の原曲『アンシェント・エコー』も、『黎明』の原曲『落日』も、初めて歌詞に英語を使ってみて、もう一生こんな事はするまいと固く心に決めるきっかけとなった曲も入っている。この中のどれ一つとして日の目を見る事はないだろうが、この時期がなければ今の私はいないはずだ。テクノポップになり切れない、向いていない、と、その後何年も頑に認めなかった事に薄々気付き始めた時期である。

2005.12.14. マスタリング日記

『深淵の前で』のバウンス。本歌は一つのテイクをそのまま使い、コーラスは少し小さめに入れる。一度バウンスし終えたのだけど、息を吸う音が予想外に目立つ箇所があったのでそこを消してやり直した。マスタリングエフェクトはWetを使い、もわもわしすぎるのでAmbienceの値を少し下げる。間奏だけオケの音量を上げた。

続いて『無限残像』のバウンス。これは二つのテイクをかなりきわどいタイミングで入れ換える難しい作業だった。そんな事をしなくてもいいようにうまく歌えるのならば苦労はしないのだけど、しかしちょっと面白がってやっている私もいる。

途中一か所だけボーカルエフェクトを切る。その直後にまた入れ換えがあり、一瞬間に合わなかったかと思った。多分、もう二度と同じ事はできないと思う。ようやくバウンスを終えたら集中力が途切れて、マスタリングはまた明日。

2005.12.12. 作曲・録音日記

後奏にもう少し音を足して調整。最後の音を断ち切るかのようにいきなり終わるのがここ最近の好みだったが、ふと思いついて或る一つの音だけをもやもやと伸ばしてみた。この掴みどころのない曲には相応の終わり方かも知れない。タイトルは『Travel of escape』。そのまま録音に入る。

分かってはいたけれど、本当にややこしくて難しいのを作ってしまった、と思った。今日3トラック取ってどれ一つ、一節さえもマトモなのがない。聴いていてヘコむほど下手なのは音程のせいなのか、単に調子が悪いのか、それすら判断しがたい。半音くらい上げるべきだろうか。これで行ってみたいという気もするのだけど…。

続いて『深淵の前で』。低音が出にくくなるのを恐れて、いきなりコーラスから取る。今の処MUZIEではなぜかこの曲が一番投票が少ないが、私自身はとても気に入っている作品だ。何でなんだろうな。これに関してはもういつ歌ってもOKテイクが出るくらいのレベルにはなっているので、あとはどれくらい感情を動かせるかが課題だ。

『無限残像』。Aメロが一番難しい。音が動かせない。うまく行かないなぁ…。A02だけは言葉のせいなのかきちんと歌えるのだけど、01と03はまだ得心の行くものが取れた事がない。

詞を書いた頃の日記で『幾ら音がそういう風に聴こえたとはいえ「何もない円」とは一体何なのか、自分でも全く分からない。』と書いているが、今日ふともしかしてこれは地球の事ではないのか、と考えた。円、だもんな。

最後に『meunatara』。ドラムをPower Setに変えてからは確か初めての録音。これもいきなりコーラスから取る。ちなみにMUZIEで今一番票が入っている(といっても微々たるものだけど)のはこの曲だったりする。こういうのがウケるのか。

2005.12.11. 作曲日記

間奏に音を足す。何となくベースを入れないまま進んでしまったが、特に要らないようだった。続いて後奏に取りかかる。ごくあっさりした感じにする。きっとここに来るまでにおなかいっぱいになってしまう。私ももういい加減飽きて来た。途中でデモ作りをしていたとはいえ、もう一月近くもこの曲に引っかかっているのだ。こうなると判断力が鈍ってくる。明日中には終わらせなければ…。

2005.12.9. 作曲日記

落ちる! と思った時には既に遅かった。久々の強制終了。あああああ。幸い新しいチャンクの2トラック分を取っただけだったのですぐ復元できた。私は思いついたフレーズを幾度も繰り返して弾いて、なかなか録音ボタンを押さない癖がある。そのおかげで指が覚えていた。尤もそれだけ繰り返したからといって、録音ボタン一回ですんなり取れる事も皆無なのだが。

サビの一回目まで進んで、この後どうするか、を考えあぐねていたものの、結局A02からC01(サビ一回目)にすぐ繋げて、C01の頭に入っていた二行を抜いて、先日繰り返した後半二行も抜いて、C01の後には間奏を繋げて(ここで強制終了した)、それからC02に抜いた部分を詰め込んで終わる、事にした。落ち着く処に落ち着いた。しかし、難産だなぁ。メロディだけでなくオケまで探り探りだ。あんまりこんな事もないのだけど。

Digital Performerはダブルクリックに弱い。

2005.12.7. 作曲日記

なぜか突然、サビの最後の二行部分をもう一度繰り返した。何だか物足りない気がしてしまったのだ。しかしこれが本当に必要な事だったのかどうか、今ちょっと分からなくなった。日を改めて聴いて判断しよう。

それにしても、終わらせ方が思いつかなくて困った。詞か。詞をもう少し書くべきか。タイトルの案は二、三あるんだけどなぁ。

2005.12.5. 作曲日記

随分聴こえ方が元に戻って来たので、曲作り。まだ完全でない事は前回の経験から分かっているのだけど、もうじっとしていられない。この前気が狂いそうになった部分はやはり音程がおかしかった。それに気付いてまたぞっとした、のだけど、実は、違った。作業を続けているうちに分かったのだが、いつのまにか、或る一つのトラックだけが一音上がった状態になっていたのだ。なぜだ! 触ってもいないのに。こんな事は初めてだ。原因不明。そしてこの前気が狂いそうになった部分というのがまさにそのトラックなのだからいよいよ謎だ。該当部分は耐え切れずに削除してしまったので、本当に私の耳のせいだったのかどうかは最早確かめようがない。全く選りに選ってこんな時に。

音を足しても足しても前のパーツとのバランスが取れなくて呻吟したが、最後に金属系の音をかしゃかしゃ言わせたらやや落ち着いた。日を改めて様子を見る。

2005.12.2. 作曲日記

昨日、難聴が再発した。前回は薬を飲み始めてすぐに症状が改善されたのだけど、今回はまだ殆ど効果が現われない。どうしてなんだろう?

もう何だか居たたまれなくなって取り敢えずDigital Performerを起動してみた。まだサビでうろうろしている。オケに二、三の音を足し、それから、ずっと気になっていたメロディを直す。もっといいのがありそうで長らく考えていたのが、今日突然降って来たのですっきりした。しかしその後、和音を入れようとしていたら果たしてその音でいいのかどうか判断ができなくなった。分からないのだ。気が狂いそうだった。即、止める。

2005.11.30. 作曲日記

今日締め切りのオーディションに送るデモを、何とかギリギリで発送できた。これで曲作りに戻れる。

といっても、しばらく離れている間に色々忘れてしまったのでまずは聴いて思い出す作業から。結局、進められたのはサビの最初の二行部分のオケのみ。メロディはもうできているので、完成はさせられると思う。

2005.11.27. マスタリング日記

昨日取った『蒼天賦』のうちの一つのテイクをそのまま使ってマスタリング。ボーカルエフェクトはSoloVOCAL、EQはDigiMix。バウンスは二度ほどやり直す。コーラスをひどく小さく入れる。マスタリングエフェクトはLightを使ってみた。が、イントロの処でどうもひどいノイズが発生する。できれば綺麗に聴かせたい音なのであれこれやってみた結果、Lo-Gを最低値(-18dB)にした状態からスタートして、歌に入るまでに徐々に上げて0dBに戻す、という方法を取った。理論的な事は全く分からないが、やりたいようにはできたのでよしとする。

2005.11.26. 録音日記

今日も今日とて『蒼天賦』。もう、何が何だか分からなくなってきた…。ぐるぐるしすぎ。何が正解なのかが分からない。マズいなぁ。今日取ったものはそれほど悪くもないようにも思えるが、日を改めないと正確な判断は難しい。

それでもかなり歌ったせいで、歌詞がばっちり入ったのはよかった。私がオケやメロディをよく変えるのは、曲の流れで詞を思い出そうとするためなのだが(そして実は殆ど効果はない)、この曲はメロディは完全に繰り返しだし、オケも大体同じだ。だからこれまで一番と二番を混同する事甚だしかったのだけど、ここ数日でほぼ完璧に歌えるようになった。やればできるんだなぁ。

2005.11.25. マスタリング日記

最近録音したものを聴き返してみた処、『蒼天賦』はまだ歌い直しの余地があったので、取り敢えず『この夜空に嵐が来る前に』をマスタリングする。EQはDigiMix、マスタリングエフェクトはFlatで。使うものがもう大体決まってきてしまった。特にマスタリングエフェクトはFlat以外殆ど役に立たない。

音が沢山入っている部分の方が危ないかと言えばそうでもなく、逆に単にドラムのフィルインしかない部分でPEAKランプがついたりする。半分ヤケになったのかも知れないが、気にせずそのまま進めてしまった。CDに焼いて聴いてみると、特に音が割れている訳でもないようだ。

さて。時間がなくなってきたが…。

2005.11.24. 作曲・録音日記

A02の続きのメロディを固め、ドラムとコードをつける。今はとにかく録音の方が気になって、すぐ切り上げる。

『蒼天賦』。一節歌っては止め、歌っては止め、しつつ、残せるものだけを残して1トラックに収める。ここ数日のものではまぁ何とか及第点が出せるテイクが取れた。間に一度『この夜空に嵐が来る前に』を挟んだのだけど、やはり、この曲は少しくらい喉が疲れ始めてきている頃の方がいいのかも知れない。しかし、かといって昨日のように半日喉を使った後の録音ではやるだけ無駄だし、余り歌い込んでからだと今度は低音が出なくなる。タイミングが計り辛い事この上ない。

無音の部分に音が入るのが嫌だったので、息をしなかった。意外と行ける。

『この夜空に嵐が来る前に』は一度歌詞を間違えたくらいで、すんなり通せた。

2005.11.23. 録音日記

『蒼天賦』。先日に比べたらまだ増しではあるが、録音を始める前にもう喉が疲れてしまっていたので、何となく声が乾燥している。低音はきれいに出ているのだけどなぁ。時間がなかったので1テイクだけ。

今作っている曲の音程を試すため、ちょっとだけ歌ってみた。出るはずもない低さだと思っていたが、そうでもないかも知れない。うまく完成すればアルバムの幅を広げてくれる曲になりそうだ。

2005.11.21. 録音日記

『この夜空に嵐が来る前に』。全体的に気持ちよく歌える曲ではあるけれども、やはり問題はBメロだ。もっと音符っぽく歌いたいのだけど、なかなかうまく行かない。私は元々音符感を出すのが苦手だから、ここで苦労するのはこの曲を作った時から分かっていた。とにかく歌い込んで慣れるしかない。

『蒼天賦』。今日はダメだ。聴き返して頭を抱えてしまったくらいダメだ。サビ以外はまぁまぁなのだけどなぁ。サビがよくない事には何の価値もない曲なのだ。

昨日作ったコーラスを試してみた。メロディそのものには問題はなさそうだ。後は低音が出るかどうかだ。

あわよくばマスタリングまで、と思っていたが、とてもそんな出来ではない。

2005.11.20. 編曲日記

『この夜空に嵐が来る前に』の手直し。全体的に音量を上げたり音を足したり。ずっと前から気になっていたのでややすっきりしたが、要らない音を足したような気がしないでもない。それにしても、この曲はもっとDigital Performerに慣れてから作りたかったなぁ…色々ぐちゃぐちゃだ…。

続いて『蒼天賦』。間奏のドラムの音量を上げる。この前『Temporary breakdown』の歌詞を見た時に『間奏のドラムの音量を上げる』というメモがついていて、すっかり忘れていたのだけど取り敢えず書いてあるからとその通りにしたものの、どうも別に変わらないような気がしていた。あれはもしかしたら『蒼天賦』の歌詞に書くべきメモだったのかも知れなかった。そんな事を考えながらコーラス作り。サビにつけるかつけないか少し迷ったが、実際的に無理だった。Aメロとサビ前だけに留める。

2005.11.19. 作曲・作詞日記

B01の後ろにIntro01を半分にしたものをくっつける。この時点でもう三分くらいになってしまっているので、ここは素直に間奏にしてもいいような気がするが、今日は時間がなかったので取り敢えず。そこにA02を繋げる。歌詞としてはこの後サビに行くのだが、曲の構成をどうするか悩む。詞をどうしても二回繰り返したいのだけど、続けてはダメなのだ。間に間奏を入れるのか、別の歌パーツを入れるのか…。歌いたいような気もするなぁ。

2005.11.18. 作曲・作詞日記

B01のメロディとオケを詰めていく。A01よりは音を増やすが、それでも他の作品に比べたら少ない方だ。いつもの花雲に戻ろうとするのを、慎重にこの曲の雰囲気に引き戻しながらのメロディ作り。まぁまぁ成功しているか。オケを作り終わってみれば、Bメロというよりはサビだったのかも知れない。詞としてはサビっぽいのがこの後にあるのだが。

そして今、歌詞を読み返していたら続きが出てきたので作詞。

2005.11.16. 作曲・作詞日記

二倍に伸ばしたA01の後半部の調整。リズムトラックの音を少し増やして隙間を埋める。飽くまで必要最小限に留めておく。

それから作詞。まずA01の後半部を固め、それからB01。随分前に書いた断片を使う事にした。形を変えているうちに浮かんできた言葉を書き留めておく。今の時点ではどうも、割と後ろ向きなものになりそうだ。B01の取っ掛かりのメロディは少し迷ったが出てくれた。オケは二行目まで。

2005.11.15. 作曲日記

曲作りをしていない私はまるで死人のようだな。

ふとそんな事を考えた。心底そう思っているのかどうかは自分でも分からないが、これが私に取って『生きる』という事の一端を担っているとは言えそうな気がする。こういう考えに捕われる時、決まってあの秋の事を思い出す。あの秋、あのまま音楽をやめてしまっていたらどうなったのか、を考えてぞっとするのだ。もしそうしていたら、花雲はここにこうしてはいない。しかしまた、あの時の事がなかったら、花雲は生まれてもいなかったのだ。

昨日作った部分を聴き返して、Intro01の三つあるパーツのうち二番目と三番目を倍に伸ばした。たっぷりしたイントロになる。音量もあちこち上げてうるさい感じにしたのち、A01のオケで一気に音を抜く。今の処ここのメロディは歌えるはずもない低い音域になっているが、後から上げるにしても、低いメロディの時は少し音を抜き気味にしないとダメだという事に最近気がついた。そしてこちらもやはり二倍に伸ばす。

2005.11.14. 作曲日記

思う処あって、しばらく曲作りをせずにいた。もうそろそろいいだろうと思ってDigital Performerを立ち上げてキーボードの上に手を置いた瞬間、新しい曲のイントロとなるべきメロディが自動的に出てきた。やっぱりな。

詞は先日、東京から帰って来る飛行機の中で突発的に出てきたので思わずホテルの領収書の裏に書き取ってしまった断片、を元にする。Intro01からA01の頭まで一気に進めた。これも曲作りを抑制していた効果なのか、花雲としてはなかなかできにくいタイプの曲になりつつある。面白いなぁ、曲作りは。

難聴の薬は明日で切れる予定ではあるが、ベースの音を選ぶ時、少し耳の痛い思いをした。気のせいである事にする。

2005.11.4. 録音日記

それにしてもしみじみ思うのは、最近作った歌はどれも難しいという事だ。ラクに歌えるものがない。

『蒼天賦』。このくらいのテンポは鬼門だ。妙にそれに気を取られてタイミングを外す日、がある。声はそこそこ出ていたのだけどなぁ。『Temporary breakdown』。今日分かったのは、私はロックバンドのボーカリストにはなれないな、という事だった。しかし多少吹っ切れた感はある。多分、今後は気持ちよく歌えるのではないだろうか。『心象』も久し振りに歌う。以前よりはマシになったか。どちらにしてもこの曲は、余程声の出る日でなければアルバムに収録できるようなテイクは出ないはずだ。

最後に『遣らずの雨』。これはこれまで以上にうまくは歌えなかった。Aメロの歌い方を掴んだくらいか。サビの抜けの悪さは何とかしなければ…。二回目の後半で突然耳が圧迫されるような感覚に襲われ、そこで録音を終了した。怖い怖い怖い。

2005.11.2. 編曲日記

『Temporary breakdown』の手直し。この曲は本当にもう少し何とかならないもんかとずっと思っていたものの、いざ始めてみるとどこをどうしたらいいのか分からず、取り敢えず音量調整。あとほんのちょっと音を足す。うーん。何がどうだというんだろう。

アルバムを作りたい。今すぐ作りたい。しかし、『今作ってどうなる』という思いもいまだ拭えない。この一念が足を引っ張っている。それでもじわじわと曲作りを進めるのだ。じわじわと。

SD-80にしてからの新曲は今の時点で7曲。あと二、三は欲しいなぁ。次のアルバムは、これまでの花雲とはちょっと違った感じになるはずだ。どう違うのか私は自覚しているが、それを公にする事がプラスになるかどうかは分からないので、今は言わずにおく。

2005.10.31. 編曲日記

『蒼天賦』の音量調整。マスタリングエフェクトをかけた時に飛び出る音があったので、それを抑える目的で、主にストリングスとドラムを下げる。それにしても不思議なのは耳が痛い事だ。確かにスピーカーは左側にあるけれど、iMacで音楽を聴いたりしても何ともないのに、なぜここから出る音は痛いのだろうか。大きさの問題か。

まだ完治していないので、今日の作業がバランス的に正しいのかどうか、多少不安ではある。

2005.10.23. 録音・マスタリング日記

今日は三回で限界だった。そして確かに低音がやけに聴こえていない気がしてしまった。嫌な予感満載。一週間で治らないのだろうか。

さて結局この新曲はタイトルを『無限残像』とする。詞の内容同様、特に意味のある言葉ではない。数日前からタイトルを考えようとするとこの四文字が浮かんできて離れないのでこれに決めた。そしてカタカナは漢字のままに。この方が歌いやすい。というのは私の気持ちの問題なのだけど、日本語以外の言葉を使うとどうしてもその発音に気を取られてしまう。だったら最初から漢字ならいいのだ。この解決法で果たして解決されているのかどうかは別として、私の気持ち的には収まった。

Aメロ四行はほぼ同じ事の繰り返しなのだけど、ただ二音だけ違う。その違いが容易に出ない。こういうメロディの変え方は『蒼天賦』でもやっている事だが、この曲の方が難しく感じるのはテンポが早いせいなのか。サビの一番高い音は私の通常の音域を越えてはいるものの、多分出るだろうという事で入れた音。それがやはり多少出にくく聴こえているか。何の枷か分からないけれど私にはカラオケ音域とでも呼ぶべき部分があって、宅録している時には絶対に出ない音でもカラオケに行くと簡単に出る。あれがここで出てくれればなーと幾度考えた事か…。

歌のある部分とない部分とでオケの音量を変えてみた件については、効果があったようななかったような。つまり今の処まだよく分からない。

引き続き、バウンス及びマスタリング。バウンス時にはオケにEQの『Power SD』、ボーカルエフェクトは『DOUBLING』に変えた。そして三つのテイクを混ぜる。マスタリングエフェクトは最初かけずにやったのだけど、どうしてもやはり音量が出ないのでやり直して『Flat』をそのままかける。

そして現在MUZIEにアップロード中。二、三日中に公開される予定。

2005.10.21. 作曲・作詞・録音日記

後奏を仕上げる。その他全体的な音量の調整。A03の詞が仮になっていたのをちゃんと書く。もう一か所気になった部分があったものの、迷って結局今日はそのままに。

どうかとは思ったのだけど、面白い曲ができた時はすぐにでも録音してみたくなるものでマイクを立てる。しかしヘッドホンから音を聴いた瞬間にちょっと後悔した。左側だけ開けた状態で二度歌う。二回が限界だった。もう何ともないような気になっていたが、やはりこうして聴くとまだおかしいのだなぁ。

それにしてもこれまた音量に悩まされそうな作品だ。こっそり歌う部分と声を張る部分と、オケの音の空き具合と。ボーカルエフェクトに『VoiceDist』の2を選ぶ。DistGainを少し下げ、DelayLevelを少し上げて最初から最後までかけっ放しに。これも初めての試み。

2005.10.19. 作曲・作詞日記

病院に行き、『左低音障害型急性感音難聴』と診断される。一週間、薬を飲んで様子を見るようだ。

後奏に取りかかる。まぁ上記のような事になっているので、音量はおそらくめちゃくちゃだろう。余り突っ込んだ事はせず、基本となるメロディ作りのみ。

それから歌詞を少しいじる。問題の部分はカタカナで表記していたのだけれど、それを漢字に直してみた。後半の七文字は無理なく漢字に直る事に気がついたからだ。しかしいざやってみるとカタカナの方がかっこよく見えないでもない。どちらで行くか、もう少し考えよう。

2005.10.18. 作詞日記

午後から何だか耳がおかしい。確か一年前にもこんな事あったな…。ひどく聴こえにくいのでまともな作業はできず。サビに残された空白を埋める。通して聴き直しているうちにふと思いついて、最後のサビ前の一行、|−|−|歌|歌|という小節割りだったのを、|歌|−|−|歌|という風に変えた。何というか、ちょっと、もったいぶった感じ、が欲しい処だったのでこれで丁度いい。いい事を思いついた時の癖で一人にやにやしてしまった。あとはタイトル、と、A03の一部。

2005.10.17. 作曲日記

サビの後半部のオケから。音色が重複しないように気をつけたくらいで、あとはすっと出る。続いて間奏。ずっとドラムがどたばた言っているのでここで一旦抜く。そして代わりにもわもわ言わせる。このもわもわはMU80では出ないものだったので嬉しい。

間奏終わってA03。B03とも言うべきその後半部の詞は一回目と全く同じにする。花雲としては大変珍しい事だ。それからサビ二回目。一回目の後半部の後半だけを頭にくっつけて、一回目の前半部を後半に移動させる(ややこしい)。要はサビ一回目の最後の一行が欲しかっただけなのだけど、A03からすぐ続けるとありがたみがないのでオケを二倍にして歌前に足した。曲の構成としてはその後サビを二回繰り返して後奏で終わり。歌詞はまだ。

2005.10.16. 作曲・作詞日記

サビに取りかかる。まず先日作ったメロディを忘れて全て作り直す処から。割とすっと出た。やはり、歌メロはすっと出るようでなくてはいけない。考え考えしながら進めたものは大体作り直す羽目になる。オケはドラムから。一通り作って、前の部分から繋げて聴いて、全て作り直す。二回目のはうまくハマってどんどん音を足す。最初にあったメロディとドラムとは消さずに後ろにくっつけた。最初から通して聴く。サビのオケが何だか気に入ってしまって、歌メロに入る前にそこだけ独立させる事に。

歌詞も余り悩まなかった。歌メロを少し修整。

2005.10.14. 作曲・作詞日記

一旦ハマってしまったものはどうも取れそうにもない。

A01を作り終えてIntro02へ。作りながらもそれが歌と歌の間の繋ぎになるのか、それともそれ自身歌メロのオケとなるのか分からずにいた。結局繋ぎの方向で。それからA02をくっつける。さすがにここまで来ると、いい加減に詞を何とかしなければ次に行けない。一つの宗教だけが入るから目立つのだと思い、他の何かを入れて緩和しようと色々調べてみた。仏教→真言→マントラ、と流れていったのだけど、マントラというのはどうも口にするだけで何がしかの効果が現れてしまうような性質を持っているらしい。おまけにどういう意味かは分からないが『副作用』が出るものまであるという。本当かどうかは別として、それほどまでに神聖化されているものを単なる思いつきで歌詞などに使ってしまうのはやはり罰当たりのような気がしてきた。

そしてここで一つ気がついたのは、私が最初に使おうと思いついた言葉は神様の言葉ではなかった、という点であった。正確には、その時点ではまだ神ではなかったと言うべきか。詳しくも知らないので、この表現が正しいのかどうか不安ではあるけれども(我ながら無責任な話だ)。それに比べると今日調べたのは圧倒的に神様仏様の言葉であった。すると何だか急に『ま、いっか』となり、最初に使おうと思いついた言葉だけを並べて作詞を始めた。なぜかこの曲に限って、いつも以上に雄弁に音から言葉が聴こえてくる。古代の中国の思想として日本に入り、暦を見ると出てくる言葉、などもくっつけたりして、ますます訳の分からない方向へ進む。面白くて仕方がない。この珍しいやり方が何かのスイッチを入れたのか、通常の私ならまず書けないような詞ができていく。幾ら音がそういう風に聴こえたとはいえ『何もない円』とは一体何なのか、自分でも全く分からない。

この曲は、果たして完成するのだろうか。

2005.10.13. 作曲日記

昨日作った部分を聴き返して、足すべき音を足してから次のメロディへ。Aメロとは違うけど、A01に収納されそうな感じ。滅多にない事だが音色選びが一度で決まった。歌詞の件は色々考えつつ今日も保留で、取り敢えずオケだけ。

生まれて初めて、人様の『好きな音楽』の欄に花雲が入っているのを見た。一番最初に考えた事は『これ私じゃないんじゃないか』だった。余りにも手応えのない年月が続きすぎて、そんな事があるはずがないと思い込んでいるのだ。少なくとも、私がこの名を考えた時には、花雲というミュージシャンは見当たらなかったのだけれども。だけど花筐には『花雲』で検索してくる人が毎日のようにいる。それもずっと不思議に思っている。もしかしたら私が知らないだけで、ホントに他にいるのかも知れない。

2005.10.12. 作曲日記

イントロに少し音を足し、A01のオケに移る。歌が入る部分と入らない部分とで音量の差をつけてみる。これはかなり前にも一時期やっていて、いつの間にかやらなくなっていた事なのだけど、どうもやはりやった方がいいような気がしたのでまた試してみる事に。思うような効果が得られなければまたやめる。

歌詞については少し悩んでいる。実は歌メロと言葉が同時に降ってきたのだけど、それが…何というか…少し宗教の色がある言葉なので、それをそのまま使うかどうか慎重になってしまう。私はそれを或る近代文学の作家の本で見つけたのであって、その宗教(しかも異国のものだ)に興味がある訳ではないので余計そうならざるを得ない。しかしこのメロディにこの言葉は余りにもびったりとハマりすぎている。作っていくうちにハマったのが取れて他のものに変わるなら、そうした方が無難ではあるが、しかしまたこの試みをひどく面白がっている私もいる事はいるのだった。

作る者としての愉悦に溺れるか、誤解を恐れるか。さて、さて。

2005.10.11. 作曲日記

この前できた詞とメロディはその後幾ら唸ってもオケが一向に進まず、二、三日見るのもイヤになっていた。で、そろそろ今日辺り動きがあるはずだと思ってDigital Performerを起動。なお数十分呻吟してやはり何も出ず、コーヒーを温めに席を立って戻ってくるまでの間に気持ちがばきっと切り換わり、真逆の曲を作り出した。こうなる事は経験上、予想がついていた。自分で自分が分かるようになってきた。

それから音量など細かい点には目もくれず音を重ねた。久し振りにドラムを二つ使う。琴を使う。明日はおそらく笛を足すだろう。

2005.10.7. 作詞・作曲日記

何だか突然言葉が降りてきたので、それにメロディをつけてみる。最初に文字数を決めたため、余り迷わず一曲分くらいの詞が出た。一曲、といっても一分か二分で終わる短い曲になると思う。メロディも全て考える。さて、オケはどんな感じにするか…。

『meunatara』がMUZIEで公開されました。よろしくお願いします。

2005.10.4. リマスタリング日記

『meunatara』と『深淵の前で』のマスタリングのやり直し。音量を上げるため、バウンス段階からオケにもEQをかけてみる事にした。『meunatara』は『DigiMix』。『深淵の前で』は『Perc.』を使う。そもそも私がEQ及びマスタリングエフェクトが嫌いだったのは、作ったままの音でなくなる事が原因だったはずなのだが、あれこれいじっているうちにだんだん面白くなってきた。特に『深淵の前で』はマスタリングエフェクトのHigh Gainを少し上げただけで、私が出したかった音が出てくれた。こうも違うものか。今更ながら。

『meunatara』をMUZIEに登録。公開されるまでに歌詞ページを作っておかなくては。

2005.10.2. リマスタリング日記

昨日から『蒼天賦』のマスタリングを何度もやり直している。2ndを作る時に一度使ってからマスタリングエフェクトというのがどうも好きになれず、それ以降はずっとOFFにしてマスタリングしていたのだけど、そこを変えてみた。mp3にした時に音量が小さいのを何とかできないものかと思って色々試したものの、あんまり改善された気もしない。どうしたらいいのか…。

現在VF80はiMacの後ろに隠れているので、作業しようと思ったらどうしても覗き込むような形になる。体が痛い。もうそろそろ旧Macを移動させるべきか。

2005.9.30. マスタリング日記

『蒼天賦』のバウンス及びマスタリング。歌詞一行分くらいを入れ換えたが、ほぼ一つのテイクを採用。ボーカルエフェクトは無難に『SoloVOCAL』。終わってCD-RWに焼いてiMacに入れる。勝手にCDトラック名を取得に行っているのはiTunesをヴァージョンアップしたからなのか、と思っていたら、見た事もないアーティスト名とアルバムタイトルが出てきたので笑ってしまった。どういう構造になっているのか分からないが、通常のCDを入れても、候補が複数見つかったとかで選択する画面になる事がある。面白かったけれど正しく入力し直して、mp3に変換。サイト容量を求めて他の無料HPサービスに申し込んだが、まだ開通通知が来ないので作業としてはここまで。

夜になって突如『深淵の前で』もマスタリング→mp3変換。ボーカルエフェクトは『DigiPLATE』。途中一行だけTelephoneのEQをかける。歌詞ページを作って『花筐』のスペースに放り込んでおく。ただし公開はしていない。

2005.9.28. 編曲・録音日記

全体的な手直しの続き。ドラムのフィルインをちょっと変えたり、音量の微調整。タイトルは『蒼天賦』(そうてんふ)とする。青い空という意味の言葉はこの詞の成り立ちからしてどうしても入れなければならなかったので、蒼天は割と悩まず決まったが、何を付けるかはしばらく考えた。賦というのは詩経の六義の一つで、心に感じた事をそのまま述べる表現方法…ではあるが、詞の内容は必ずしもこの意味には沿っていない。詩経の六義については学生時代にちょっとだけ習っていて、その頃『碧瑠璃頌』(頌もその一つ)という曲を作った事があるので、これで二つ目だ。という事に、タイトルを思いついた後で気がついた。

それからデモのための録音。歌詞を取り敢えず手近の紙に写し取っている時、また重複している部分があるのを発見して慌てて他の言葉に変える。迂闊なのである。音程的には無理のないように作ったので問題なし。歌っている途中でオケの手直しすべき点を見つけたが、今回はデモなので敢えてこのままにしておく。最初に二回歌い、他の曲を幾つか歌った後でもう一度録音したが、少し喉が疲れてきた頃の方が求める声が出る曲なのかも知れない。

2005.9.27. 編曲日記

全体的な手直し。間奏の後半、故意に下げていた或るトラックの音量をやっぱり上げる。後奏に故意に使っていなかったトラックをやっぱり使う。歌詞を一部変更。よく見たら言葉が重複していた。これは割とよくやってしまう。しかも随分後になるまで気付かない事も多い。迂闊なのである。

この曲は近々録音してデモとして公開しようと思っているのだけど、花筐のサイトの容量がもうギリギリなのだという事を昨日思い出した。前々回辺りから、新しいデモをアップする時には古いのを削除しないとダメなくらいギリギリになっていたのに、その度に忘れてしまって何も手を打っていなかった。でもXREAはやめたくないので、デモページ用にどこかもう一件借りようかと考えている。

2005.9.26. 作曲・作詞日記

日記を書いていなかった日も少しずつ少しずつ進めて、A01→C01と繋げた処でC01の作詞。Bメロがないようでありながら、Aメロの中に収納されていると言えなくもない。ここまでは割と悩まず進んだ。詞はやや時間がかかったけれど、出始めると早かった。メロディに合わせて微調整。A02とC02は一回目の歌メロを極力変えずに行くと決め、ゆえにオケもコピー&ペーストで取り敢えずチャンク作成してしまって、少し手を加えるだけにする。オーボエの音を生まれて初めて使った。フルート系以外の木管・金管楽器の音は全然使わない。かつて吹奏楽をやっていたせいで、あの嘘っぽさに耐えられないのだ。しかしさすがにSD-80はMU80とは違って、許せる音も幾つかは出してくれる。

曲の構成については一時悩んだ。間奏にイントロを流用するかどうか、それから後奏にサビを流用するかどうか。あれこれ考えた結果、間奏は独立したものを作り、後奏に間奏を流用する事にする。詞も最後まで固め、曲の形としては一応完成。タイトルはまだ出てこない。

2005.9.23. 作曲・作詞日記

イントロに更に音を足してから、作詞。まず詞を作ってしまわないと進まないタイプの作品なので、少なくとも方向だけは決めておこうとしばらくiMacを睨んでいた。

今までこういう作り方をした事はないのだけど、これは実際にはまだ見ていない或る芸術作品のタイトルと、その内容についてのただ一つのキーワードだけを許にして、そこから広げてみようとしている詞なのである。近年私はかなりの作品に於いて、自分の体験や感情だけを詞の中核に据えてきた。しかしそうなる前は大概空想世界で遊んでいたのだ。そこにほんの少しの現実−日常の出来事や、心に留まった美しい景色など−があるにはあったけれども。この前『深淵の前で』を作った時に久し振りに昔の感覚を思い出した。そしてこんなやり方を思いついたのだった。是か非かは別として、私自身は非常に楽しい。

以前書いた詞の断片から二行ほど持ってきたり、テーマと関係なく言いたい事を織り込んだりして一番のサビ前(になるであろうと思われる部分)まで作り、それからA01のメロディ作り。先日ちょっとだけ作ったのを削除して全然違うものにする。オケは何となくベースを抜いて、他の音で低音を入れた。とにかくメロディ、メロディと先へ進んで、サビに繋げる処まで作ってしまう。

とてもゆっくり流れていく曲だ。今の処、一番だけで3分半ある。

2005.9.22. 作曲日記

昨日作った部分にあれこれ音を足す。それからイントロの作成。サビも和風なのだけど、イントロはそれとはちょっと違う感じの和風になった。…言葉で表現するのは難しいな。予期せぬ雰囲気になったものの、特に違和感というほどの事もないのでそのまま進める。普段ならまず使わない、ふにゃふにゃした音色をふと選んでしまった事がこのフレーズを導き出したのかも知れない。

2005.9.21. 作曲・作詞日記

ここ数日、作っては投げ作っては投げの繰り返しで全く進まなかったが、今日になってようやくものになりそうなフレーズができた。最初に和音、次に歌メロが浮かび、詞を作るというより音から聴こえてきた言葉を書き取る作業。これは多分サビだと思う。サビ×2始まりで、A01の詞と歌メロまで進む。オケはいつもなら全て作り込んでからでなければ先へ行かないのだけど、今日はとにかく出てくる分だけは記録してしまわねばこぼれてしまいそうだったので、そうした。

歌メロはややありがちかなぁという気もするものの、分かりやすいメロディを作るという事が近頃テーマになっているのでそのまま使う。

2005.9.18. 作曲日記

何か全然違う曲を作ろうとしてそれもうまく行かず、『深淵の前で』の手直し。まず一音上げる。そのままだと最低音がちょっと危うく、半音上げればおそらく出るだろうけれど、一番強調したい部分なのでもっと楽に歌えるようにと思っていきなり一音上げてみた。するとさすがにオケの方で違和感が出た。単純に慣れの問題なのかも知れないが、結局半音下げる。これでまたマイクを立てて歌ってみて、どうするか決めようと思う。

二日前に、突如として『もうテクノを目指すのはやめよう』と決意した。何がきっかけという事もなく、とにかく唐突にそう思った。P-MODELと平沢ソロを聴いて育ってきた者として、DTMを始めてからずっとテクノポップという事にこだわってきた。テクノポップになりたいと思い続けてきた。しかし結果としては、私の中から出てくる音は全然テクノじゃないのだ。自分で『これはそれっぽいな』と認められるのは片手で数えるほどしかない。私は自分の中から出てくる音というのは多少それまで聴いてきた音楽に影響はされるとしても、大部分は持って生まれたものだと信じている。ゆえに今更もう変えようがないとも思っている。それなのに随分と長い間、分かっていながらそれを認めず、テクノになりたいテクノになりたいと念仏のように繰り返し思い続けてきた。

それをやめようと思ったのだった。別にDTMだからってテクノじゃなくてもいいじゃない。どんな音楽を作っているのかと問われた時に、咄嗟にジャンル名で答えられなくたっていいじゃない。色んな意味で疎外感があるけどいいじゃない。本当に何と言うか、胸の中にあった訳の分からない塊がごろっと取れでもしたように『無理にテクノになるのはやめよう』と思ったのだった。

それが二日前の話。で、今日鍵盤を叩きながら考えていた事は『あー、テクノっぽいやつが作りたいなー』だった。

別に嫌いな訳ではないゆえに。

2005.9.17. 作曲日記

昨日思いついた或るイメージを許に、新しい曲に取りかかる。が、3トラックくらい作った処で何だか急に違っているような気になってしまった。これが正解という事がないイメージなので、日を改めて聴くと印象も変わるかも知れないけれど、真逆の方向から行くべきであるような気がふとしたのだった。

2005.9.16. 録音日記

録音しようと思ったらVF80の新規プログラムが作れなくなっていた。よく見ると既に99個のプログラムができていて、確か上限がこの数字だった事を思い出し、もうそんなに録音したのかと感慨に浸りながら要らないのを二、三削除した。99なんて何年もかかると思っていたのになぁ。まぁ、何でも残しておく癖が招いた結果ではあるのだろうけども。

『Temporary breakdown』と『深淵の前で』のテスト録音。『Temporary breakdown』は意外と歌えた。或る程度練習が必要だと思っていたのだが。しかし『ちゃんと歌える』のと『うまく歌える』のとは全く別の事柄ではある。テンポはもう少し早くてもいいかも知れない。どうももたつき感がある。

『深淵の前で』は意外と歌詞が入っていた。この曲は、同じメロディを二度使わない手法を使わないで作ろうとしていたにも拘らず(ややこしい)、結局一か所を除いて全て違うメロディになってしまったのだけど、私がそういう事をよくやるのは、それによって歌詞が多少なりとも覚えやすくなるからではないのかと、歌いながらちょっと思った。

そしていわゆるコーラスではない、同じ詞を違うメロディで歌う部分。二か所あるうちの最初の方はまぁそれなりだったが、後の方は予想よりいい効果が出ている。

2005.9.13. 作曲日記

やっと終わった。一曲完成。歌メロの最後の部分にオケをつける。ドラムを入れようかどうしようか少し迷った。おそらく後奏はドラムなしだろうな、と思っていたからだ。結局入れず、後奏にも入れず。ドラムなしが続く事になるけれど、それは何だか余り深く考えなくてもいい事柄のような気がしたので、そのまま後奏のオケ作りを続行。昨日取っ掛かりになるフレーズを一つだけ作っておいたせいか、割と悩まずさっさと進んだ。テンポダウンして終わろうかとも思ったが、そのパターンは結構使っているのでやめた。代わりに最後の音を通常よりも伸ばし、そしていつ切るのかを決めるのに幾度も幾度も聴いて微調整。

それから全体的な手直し。D02のドラムがやたらうるさかったのを少し押さえたり、間奏のドラムを二、三打抜いたり。タイトルは少し悩んで『深淵の前で』。一つ前に作った曲のタイトルもいまだに決まっていなかった。色々考えて『Temporary breakdown』。

2005.9.12. 作曲日記

もういい加減終わりたいのだけどまだ終わらない。D01をD01とD02とに分ける。この前作ったメロディの作り直し。一番最初に作ったものに少し戻った。D01と02の間に二小節のフィルインを入れたが、一時間経たないうちにやっぱり取った。01の最後に02の頭のメロディをねじ込む。オケはドラム、ベース、和音の順に。今更新しいトラックを作ってみたり。試行錯誤した時間は長かったが、その後少し調子が出てきた。あと八小節くらいで取り敢えず歌の部分は終わる。後奏についてはまだ1ミリも考えていない。

2005.9.10. 作曲日記

最後のパーツのメロディ作り。とにかくこれが終わらない事には一歩たりとも進めないような気がしたので、ああでもないこうでもないと鍵盤を叩く。二、三回は作り直した。私としては珍しい事だ。繋げて聴いてみて、前半はこれでよし。後半はまだ保留。歌詞はこの前書いておいたのを、改行などして見た目を整える。多分これで完成だろう。

少しだけ安心して、オケに取りかかる。何だか妙に慎重になってしまっている。

2005.9.5. 作曲・作詞日記

間奏の続き。前半はドラムなし、その代わり後半はどたばた言わせる。和音で刻むトラックと、メインの裏で動くメロディが欲しいなと考えていたらそれが一つになってしまった。伸ばすべき処を刻み続けながら動くメロディ。初めてのパターンかも知れない。

そろそろ歌詞を終わらせないと次に行けなくなってきた。どこで終わらせるか、が難しい詞だ。そしてまた『私』を介入させるかどうかで迷っている。この人がこれ以上墜ちないように止めなければならないが、それをするのは『私』なのかどうか。とりあえず介入の方向で書いてみたものの、保留。

2005.9.3. 作曲日記

昨日出てこなかった間奏を考える。ちょっと迷って、どうやら取っ掛かりになりそうなフレーズはできたもののまだ自信がない。いい調子で進んできているので、それを壊してはいけないという気負いが邪魔をしているような気がする。

今朝起きる間際まで見ていた夢の中で、私は或る人に向かって『本当はバンドがやりたいんですよ』というような意味の事を言っていた。目が覚めてから少し苦笑して、それからひどくがっかりした。これが私の本心だと言うのだろうか? 割と自分を否定するタイプではあるけれど、ここは否定しちゃいけない処だよなぁ…。

私の中に、いまだバンドというものに対する憧れがある事は認める。でも少なくとも今はバンドがやりたいなんて微塵も思っていないはずだ。客観的に見ても、花雲の音には他人が介在する隙がない。もっとずっと遠い未来に、誰かと一つの音楽を共有してみたいという思いはあるが、今はその時期ではない。

2005.9.2. 作曲・作詞日記

B01の続きから。メロディが気持ちいいので一節で終わらせるのが勿体なくなり、もう一度繰り返す事にした。その後の詞をメロディに合わせて少し変更。聴き返している時に、オケに何気なく入れていたフレーズが詞の文字数と合わなくもない事に気付き、そのまま裏メロとして採用。これまで本メロとは別の歌詞で裏メロで歌う事はあったけれど、今回は同じ歌詞のメロディ違い。なかなか面白い試み、録音するとどうなるのか。

それから間奏に移ろうとしたがうまく音が出て来なかったので、先にできている詞にメロディを考えてしまう事にした。これも言葉の数は違うもののAメロのオケに合わなくもない事に気付き、A02として調整。同じパーツが二度と出てこないという手法を用いても構わないのだけど、それよりはもう少し曲の形を整えた方がいいような気がしたのだ。

ここまで、詞は意図的に、説明し切らないように気をつけている。

2005.8.31. 作曲・作詞日記

A01のドラムなどに少し音を足す。これで最初のパーツが大体まとまり、今後の方向性を決めるために作詞。元々一つのイメージがあってそこからメロディを拾ってきているので、この辺りで言葉にしておかないと先に進みにくい。

絶望的なほど暗い詞にしようと思っていたので、そうする。私の詞は例え暗くても何か救いがあるのが常だが、これに関しては今後それが出てくるのかどうか自分でも分からない。そして語尾なども意図して、口語的でない感じ、にした。一節できてからB01のメロディ作り。この曲を作り始めた時に『自分が一番気持ちよく歌える音域にしよう』と決めたのを思い出し、そこから逸れないようにする。

オケに取りかかったが、A01とB01の間に間奏を入れるべきかどうか迷っていた。繋げて聴いてみて、B01のできている部分を二倍に伸ばし、メロディは伸ばした部分から入れる事にして間を空けた。これはイントロからA01までの流れにも使ったやり方。こういう曲にしよう。

2005.8.29. 作曲日記

昨日間違えた気がした部分をそのまま後ろにずらして、最初にしっくり来るコードを入れる。そして後ろには別のメロディを考える。これでいいのだ。

テンポの早い三拍子の曲を作ろうとするとどうしてもドラムをどたばた言わせずにはいられなくなり、またベースも一秒もじっとしていないフレーズになる。つまり、『陽炎』を継承したような曲調になる。『陽炎』はどこにも出していない作品なので何ら問題はないのだけど、雰囲気的に似るというのはどうも余りよくないなぁ。私自身の気持ちの問題ではあるものの。

2005.8.28. 作曲日記

新しい曲のイントロの続きと、A01。どたばたするドラムを入れようと思っていたので、そうする。それからコードをつけていったのだけど、どうも、間違った気がする。なぜつけ終える前に気付かなかったのか。微妙に合っているようでいてやはり違う。やり直し。

ちなみに先日完成した曲は、タイトルがまだ決まらない。

2005.8.26. 作曲日記

全くやる気の出ない状態が何時間か続いた後、ようやく音源の電源を入れて、先日完成した曲を聴き返していたら色々気になる点が見えてきたので手直し。B01とか間奏とか。あと最後のサビの、詞の出てこない部分はばっさり切ってしまった。ちょっと変則的だけど、後日聴き返して違和感がなければこれで行く。それからあれこれ歌ってみながら自分の将来について考えていた。

最後に新しいファイルを作成して八小節くらい作曲。

2005.8.24. 作曲・作詞日記

最後のサビの繋ぎを少しいじって、詞を二行書く。あと二行。出てこない。後奏を考える。イントロを元にして長さを二倍に伸ばす。とにかく今日中に完成させてしまおう、と焦っていたので何だかどんどんできた。長い事この曲にかかり切っていたのでそろそろ終わらせないと、という強迫観念のようなものに捕われたのだった。でもそのおかげでオケは完成。あとは詞を二行。まだ出てこない。

それから『弓張』。これは『月の桜』や『金色の夜空』のように昔作ったファイルなのだけど、それに手を加えるのではなく一から作り直す事にした。インストで音も薄めなのでその方がよくなるだろうという判断。しかし、いきなり音選びでつまずく。またしてもHarpだ。ホントにSD-80ときたら、ベル系とハープ系はロクなのがいない。しかもこの曲は、どうしてもどうしてもこのトラックでいい音を出さなければならない作品なのだ。例によってブライトネスやらハーモニックコンテントやらをいじってもみたのだが、全然ダメ。がっかりしたらやる気が失せた。

2005.8.22. 作曲日記

『金色の夜空』のテスト録音。やはり音程を上げるべきか。音程だけでなくテンポも上げた方がいいような気がする。それにしても、この曲を歌うのは難しい。淡々としすぎてもいけないし、かといって余りに感情を入れすぎるのも花雲の色ではない。言葉が強いだけに、歌がそれを壊すような結果になってはダメだと思う。どのようにバランスを取るべきか、もっともっと歌い込まねば分からない。

続いて『meunatara』。サビ裏メロディの詞の変更後ヴァージョン。歌に関しては問題なし。しかしオケの、特に歌の入っていない部分の音量が足りないように聴こえた。それに、どうも、スネアの音の選択を間違えているような気がしてならない。作っている時はこれでいいと思っていたのだけど…。

2005.8.19. 作曲日記

詞の次のパーツ、のオケ。これはA02とすべきかB02とすべきなのかしばし迷って、雰囲気的にはBメロだけれどもA02とした。メロディはそんなでもないはずだったが、オケを作っているうちにどんどん暗くなっていった。前後のバランスを見て『まぁいいか』で処理。

全体を通して聴いてみると、何だか音量がバラついている。音数ではなく音量がバラついているのはなぜなのか分からない。どんなに下げても聴こえすぎる音もある。耳の感覚がおかしいだけかも知れないので(私は時々こういう事がある)、後日また聴き返してから調整する事にして、A02の後ろにサビをくっつけた。後はこれを二倍にして後奏をつけた処で、曲としては終われると思う。

2005.8.17. 作曲日記

C01のオケの続き。何だか思いがけないほどさわやか路線だ。最初から続けて聴いて音数を調整。それから間奏。余り深く考えずに鍵盤を叩いていたらすぐフレーズが出た。早く動く音を入れるのにStep Recordを使ったら、手弾きするより余程時間がかかってしまった。しかしだんだん意地になってかっちり打ち込む。一通り作って、ベースラインを足すかどうか思案中。

詞の次のパーツから二番なのだけど、Aメロを流用せずに新しいメロディを考える。これも割と悩まず出た。これで、曲の形は大体見えてきた。

2005.8.15. 作曲日記

B01を詰めていく。しかし暑さのせいか何なのか途中で集中力が切れてきてしまい、後からまた足せばいいやという気になってC01に取りかかる。詞とメロディはできているので楽と言えば楽。実際進めてみてちょっと詞が少ないかと思ったが、それものちのち調整する事に。

『meunatara』のサビ裏メロディの詞を書き直したり、『弓張』を音が出るように設定したり。ここの処、昔の曲を作り直したのを集めてアルバムにしても面白いかも知れない、と考えている。新曲の中に混ぜて発表するというのはちょっと抵抗がある。まぁ1st、2ndにも昔の曲は入っていたのだけど、『月の桜』や『meunatara』はそれとは扱いが違うのだ。花雲としてのオリジナルアルバムを三枚出した処で、タイミング的にもアリだろうとも思える。

2005.8.11. 作曲日記

A01の後半部分。足りない音を少し足す。昨日までのイメージではいきなりそのままサビに入る事になっていたが、それではさすがに違和感がある事に気付いたのでBメロを作る。詞もすぐ出た。

最近、多分、SD-80にしてから、メロディが変わったな、と思う事が多くなってきた。いや、厳密には音源を変えた事が影響しているのかどうかは分からないが、何だか、分かりやすくなってきた。私のメロディは、人が歌う事など想定していないとしか思えないような処から始まって、時間が経つにつれその傾向はやや薄れはしたものの、ひどく動きが激しく一時もじっとしていない、という特色が長らく出ていたが、近頃は自分でもはっきり自覚するほど分かりやすいメロディが出てくるようになった。これは、何だろう。花雲らしさが薄れるのではないかと最初は訝っていたが、全部が全部そうという訳でもないようなので(という事は『遣らずの雨』を作った時に分かった)、現在は『こういう曲もあってもいいか』というレベルに落ち着いている。

2005.8.10. 作曲・録音日記

久し振りに作曲。突然『曲を作らねば』と(これまでとは明らかに違う感じで)思ったので、そうした。以前作りかけていた曲で、ゆっくり始まってのちにテンポが変わる形のものがあるのだが、テンポが変わる部分を早さも雰囲気もがらりと変えて作り直し始めた。というよりも、最初のイメージではこうなる予定だったのだけど、自分でもよく分からないうちに予期せぬ方向へ行ってしまっていたのだ。そして曲作りが完全にストップした。

夜、これも突然『meunatara』をテスト録音。サビに新しく足したメロディを試してみたかったので、本歌は取り敢えずな感じで入れて、それから別のトラックに追加分を入れる。そうしているうちにもう一つ別のメロディが浮かんできた。それは『あ』と『う』で伸ばす単なるコーラスではあるものの、これも入れたらどうなるのかと、自分でその思いつきににやにやしながらもう一つ別のトラックを用意。しかし、歌い出した途端、最初の二小節がものすごく聴き覚えがある事に気がついた。何だろう!? 絶対平沢曲だ。だって師匠の声で聴こえたもの。それから考え続けに考えているが思い出せない。

一回目のサビでは最初の二行は本歌のみ、あとの二行で追加メロディを足した。二回目のサビでは追加メロディは四行とも入れ(このため一分くらいで二行分の歌詞を無理矢理捻り出した)、後ろの二行でコーラスを低音で、そして三回目の(すなわち最後の)サビの最初の二行の裏にコーラスを高音で入れた。もうなんだか声ばっかり。これはバウンスの時に余程気をつけないと共倒れになってしまう可能性がある。

『あ』と『う』で伸ばすコーラスは『空に溶ける赤』で初めて使った。必要も感じていなかったし何となくかっこよくない気がしていたのだ。でも今日は実に自然にそれを入れた。結果的には、良い。

2005.8.9. 編曲日記

『meunatara』の仕上げ。あちこちに音を足す。サビにも足していたのだけど、途中からだんだんそれが歌メロのように思えてきた。これに詞をつけて、サビにかぶせても面白いかな、という気になってきた。元々ある詞の雰囲気を壊さずに新しい言葉を並べられるかどうか、難しいだろうけれどわくわくする。

2005.8.4. 編曲日記

『meunatara』の続き。音色の選び直しと、音量調整と、ブライトネスやらハーモニックコンテントやらの設定。この曲は何だかものすごく音が多い。あと2トラックという処で力尽きる。隙間を空けたり、新しいフレーズを足したりするのはまた後日。

2005.8.3. 編曲日記

次にどの曲に手をつけるか、あれこれファイルを開いて少し悩む。そしてふと作りかけの新曲のファイルも幾つか開いて、できている処まで聴いてみたりする。…まだダメだ。慌てて古い方に戻った。新たに『Rainy Garden』と『地上の月』を追加。『Rainy Garden』は、短大で百人一首を覚えさせられていた頃作った曲だ。百人一首は今はもう一つも言えないけれど、それは覚えている。

近年非常によく似たタイトルの歌が大ヒットしてしまったが、『地上の月』は95年の作品。これができた時、私は初めて自分の才能というものを感触として掴んだ。私に取って最初のターニングポイントとなった曲。

この二曲を音の出るように設定してから、『meunatara』に取りかかる。多分これが私の全作品の中で一番テクノらしい曲なんじゃないかな。音源が変わって、よりその度合いが増しそうな予感がする。

2005.8.2. 『月の桜』曲解説

本日、『花筐』は開設四周年を迎えました。それに伴ってアップした『月の桜』という曲について、少し書きたいと思います。

この曲が完成したのは97年6月。何と八年前(もちろん、今回のオケは当時のままではありませんが)。三年後にバンドとして発売したアルバムに収録しました。

詞としては当時の私の作り方の主流だった、空想から派生したパターン。元々、辞典を眺めていた時に『月の桂』という言葉を見つけたのがきっかけでした。『月の桂』とは『(中国の伝説で)月にあるというかつらの木』だそうです。しかし私はその伝説はおろか、桂というのがどんな木かも知らず、ただこの言葉の響きだけを気に入って、勝手に『桜』に置き換えました。

月に桜があるとしたら、それは一体どんなものなのか。煌々と明るい夜の月の大地の上に、まるで雪のように沢山の花びらを、絶え間なく、音もなく、散らせ続けている桜の樹のイメージが浮かびました。ああ、あれはきっと、死者を護る樹だ。寂しく彷徨う死者の魂を護る樹だ。何の脈絡もなく、しかしなぜかかなり真剣にそう思い、そのイメージを許に、この歌を作りました。

もうすぐお盆ですね。

2005.8.2. 録音・マスタリング日記

午前、午後の二回に分けて『月の桜』を録音。何度も取り直す。歌えていない訳ではなくて、伸ばした音を切るのが一瞬早いとか、息継ぎをすべき処でしなかったとか、そういう事だ。そうやって繰り返し歌っているうちにだんだん低音が出なくなってくる。ノドを休めるために録音したものをチェック。要るものと要らないものとに分け、また録音。

結局バウンスの段階では3トラックの歌を繋ぎ合わせる形となった。以前はこういう事をやると、何となく声が違って聴こえる、という事態が発生していたが、最近はそれが余りなくなってきた…ように思う。一度バウンスをしたものを或る理由で削除、WAVE FORM SCRUBを使ってあちこち修正したのち再びバウンス。そしてマスタリング。いつもデモを作る時に、オケに対してボーカルの音量が少し出過ぎているのが気になっていたため、今回はオケの音量をすこーし上げた。結果、上げすぎてしまったような気もする。でもまぁこれはこれでよし。XREAの容量がのこりギリギリ(←あ)のため、古いデモを二つほど削除してアップ。

2005.8.1. 編曲・録音日記

『月の桜』の、気になっていた最後のサビ前の繋ぎ二小節を作り直す。これで完成だな、と思いつつぼんやり聴いていたら突然、明日で花筐開設四周年だ、という事に気がついた。

それから急いでマイクを立てて録音。オケは原曲キーと半音上げの二種類入れて、半音上げの方で二回歌う。一回目は原曲通り、そして二回目は課題である最低音部分のメロディを変え、その直後の最高音部分を裏声を使わずに歌う。結果、最低音はやはり非常に厳しいという結論に達した。だからメロディを変えよう。メロディを変えるのなら半音上げる必要もなかった。明日原曲キーでもう一度取り直そう。そしてできればその日のうちにデモとして公開したいものだが。

2005.7.28. 編曲日記

『金色の夜空』。何だか薄くて気になっていたBメロに音を足す。が、満足する処まではいかなかった。再考の余地あり。詞を一部改訂。本当はもう一か所改訂したいのだけど、それに代わる言葉がどうしても見つからない。保留。全体的に半音上げる。

デモ発送の準備。今回はB社とF社とV社。B社とF社は過去にも幾度か送っている。どちらも私の好きなアーティストがかつて在籍していた会社だ。その理由だけで多分今後も送り続けると思う。

2005.7.27. 編曲日記

『金色の夜空』。音色の選び直しと、新しいフレーズの追加と、隙間空け。昔の曲には殆ど隙間が空いていないので、すべからくこの作業をしなければならない。歌メロのトラックを全部削除して、他の音を入れるのに使う。Goblinをいじろうと思ってハーモニックコンテントを120に上げたらもんのすごい音が出た。スピーカーはもちろん耳まで壊れそうな音だった。まぁいきなり120まで上げる私も私なんだけど、それにしても腹立たしい。

しばらく休んでいたレコード会社へのデモ応募を再開すべく準備している。今日CD-RWからMDに録音する術を発見したのは、実に大きな収穫だった。

本音を言うと、どうも、師匠を見ていると、レコード会社からのデビューというのが本当に私の目指すべき処なのか、不安になってしまう。しかし、これ以外にどうしたらいいか分からないのだ。とにかく、何か、どこかへ向かって、進み続けていかなければ…。

2005.7.26. 編曲日記

『月の桜』の続き。最後のサビの前に二小節入れる。これで大体は終わり。あと気になっているとすれば、最後のサビの一回目のドラムを抜いてみたのがどうかという事と、もうほぼ出る気のしない最低音を、メロディ変更でしのぐか音程上げで堪えるか、といった処。

続いて『金色の夜空』。まずドラムトラックの全体的なチェック。マージで重ねてある音が格好悪いので全部抜いた。ドラムだけははっきりとSD-80に軍配かと思いきや、シンバルの音がどうしようもないのだった。ベル系の音の代わりをあれこれ試した結果、Muted Distに落ち着く。ギターの音…だろうな、これは。しかしそうは聴こえないように少し加工する。Jump Brass、Polysynth、などは殆どいじらず。Tinkle Bellがこれまたどうしようもない感じで鳴っているのを明日何とかしなければならない。

こうしている間も、新しい曲を作らねば、という焦りは頭から離れないものの、何もアイデアらしいものも出ないし、その気にもならない。そしてつくづくと思うのは、あーあ、昔は天才だったなぁ、という事だ。そう、昔は天才だったよ。特に96年。

2005.7.25. 編曲日記

『月の桜』を詰めていく。音色の選び直し、細かなベロシティの調整。同じ処を行ったり来たりを相当繰り返し、さすがに疲労。ドラムトラックがよくない感じでうるさかったのを直す。聴こえてきた新たな音を足す。…これは作曲をしない人には説明が要るだろうか。『曲を作る』とは言っているが、私のはどちらかというと『聴こえてきた音を具現化している』と言った方が近い。考えようとして考えたメロディは質がよくないし、長続きもしない。頭の中で自然に鳴り出したのを掴み取って画面に並べた方がよいものができる。で、今日聴こえてきた音も、この新しい『月の桜』にはよく合っていると思う。

新しい、と書いたが、二回目のAメロをばっさり切って、サビを二回繰り返すようにしてみた。一度発表したものに(曲の構成や詞の面で)手を加えるのは大変不本意なのだけど、実はこの変更は発表当時もやってみている事だったのを、今日、同じ事をもう一度やってみて思い出した。その時はうまく繋げられなかったか何かで元のまま出したのだ。今日の時点でも違和感なく繋げられたかどうかちょっと判断しかねたので、一旦保留。最後のサビの詞を変えるかどうかも保留。

まぁ、どんな風に変更した処で、最初のヴァージョンとの違いが分かる人は片手で足りるくらいしかいないはずではあるけども。

2005.7.22. 編曲日記

『月の桜』の本格的な音色選びと音量調整など。いやぁ、それにしても、ベロシティのびったり揃っている事と言ったらない。昔は真っ直ぐじゃないと絶対嫌だったからなぁ。他の曲も全部こうだと思うとうんざりする。自業自得。

こうして音色を選び直していると、MU80とSD-80の違いがはっきりしてくる。余り認めたくはない事だけれど、私は多分、MU80の方が好きだと思う。機種というよりYAMAHAとRolandの違いなのかなぁ。YAMAHAの方が柔らかい感じがする。笛系の音にこんなに空気感いらないのに。それにやたらとふにゃふにゃした音が多いのも気になる。最初からがんっと出てるのが好きなのだ。アタックタイムを設定し直せば済む話なのだけど、元々の音がこうだというのはどうも苛々させられる。

オリジナルには鳥のさえずりの効果音が入っているが、SD-80のものはどれもピヨピヨしすぎなのでトラック全部削除して、他の音を入れた。

2005.7.21. 編曲日記

もう何をどうやっても作曲が進まない。進まないったら進まない。余りの事に本格的に危機を感じたので、一旦曲作りをやめて、MU80で作った曲のファイルを開き、SD-80の音色に設定し直していく作業を始めた。細かな音選びは後でするとして、取り敢えず◆96、すなわちClassicalでどんどん打ち込んで、ともかく音が出るようにする。チャンクを分けてソングでまとめてある曲は、チャンクが変わる度に音が出なくなってしまうため、コピー&ペーストで一つのチャンクの中に全部繋げる。こういう事が面倒で今まで放ってあったのだけど、やり出せば集中するタイプなのでどんどん進めた。

『遠くても』『月の桜』『meunatara』『CALL HIM』…花雲としては既出でないが一度は世に出した曲。しかし花雲ヴァージョンで成仏させてやりたいと思っている。ちょっと歌ってみたが『月の桜』は最低音が非常に危ない。多分マイクを立てたら出ないだろう。なんでこういう音を入れるのか自分でも分からない。多分当時は出たのだろう。

それから『悠久凱歌』と『金色の夜空』(『きんいろ』じゃないよ)。この二曲はどこにも出していない。『悠久凱歌』は、これまで作った全ての作品の中で、最も師匠の影響が色濃く出ている曲だと思う。これと『アンシェント・エコー』がいい勝負だが、この頃はまだ詞の面において師匠のマネをしていた時期だ(ちなみに『古響』の原曲でもあります)。『金色の夜空』は、この中では一番元に近い音が出た。これはもう何年も前から、出すかどうか迷っている曲なのだけど、こんなに迷うんだったらもう出しちゃった方がすっきりするんじゃないかと今日思った。そう思ったからといって、出る処まで恙無く事が運ぶかどうかは私にも分からないのだが。とにかく、こんな言葉遣いをしたのは後にも先にもこの一曲だけだ。

さて。これらの全てを何とかSD-80で鳴らせるようになったとして、問題はどんな形で発表するかだなぁ。

2005.7.19. 録音・作詞・作曲日記

『心象』『遣らずの雨』『この夜空に嵐が来る前に』の録音。『心象』をまた半音上げる。どこまで行けば気が済むのか。最高音が出る事の方が不思議だ。しかしこの変更は取り敢えず保留にしておこうと思う。元々今日は低音が出にくい感じだった。納得が行くまで歌い直したが、それで疲れてしまってまだ聴き返していない。『遣らずの雨』に移る頃にはもう半分くじけそうになっていた。色々難しい歌なのだ。『この夜空に嵐が来る前に』は気持ちよく歌える曲なので、これでシメとする。

夜になって作曲。今まで作りかけた三つの断片を行ったり来たりする。こういう事は余りないし、余りしたくもないのだが。その中でも一番古い断片は、とにかく形を作ってしまおうと、詞とメロディだけどんどん進めていく。一番と、二番の半分くらいできた。その後、イントロを少し作りかけたがもう何も思い浮かばず、落ち込みそうになったので慌てて切り上げた。

2005.7.15. 作曲日記

歌始まりの曲になるのでその最初の部分のオケ作りから。余り凝らず取り敢えず3トラックほど。テンポが変わってドラムが入る。軽い感じにしようと思っていたのでドラムセットはAnalogで。コードとベースを足す。テンポが変わる処からうるさくなるかも知れないと思っていたが、予想外に落ち着いた感じになっている。今の処は。

2005.7.13. 作詞・作曲日記

昨日寝る直前に、何かむずむずと言葉が出てきそうな感じがあり、近くの紙に少し書き付けておいた。寝ぼけていた訳ではないので、今日になって見てもちゃんと意味の分かる断片になっていた。それを許にまず詞らしいものを少し書き、それにメロディをつけてみる作業。割とすんなり出来た。ものになるだろうか。プチスランプに陥っていたのでまだ信用できない。慎重に行こうと思う。

2005.7.12. 作曲日記

Intro01を聴き返して少し音を足し、メロディとドラムだけのA01にベースを足す。たったこれだけ。

近頃曲作りが殆ど進まない。何故かと内部分析をしてみた処、おそらく言葉がないのが原因だろうと思う。一曲の核となるべき一行が今ないのだ。私はいつから言葉がなければ曲を作れない人間になってしまったのか。いつからか…ある時までは全てが曲先行で、詞などあっても作れたもんじゃなかった。それがある時を境に全く逆になってしまった。思い出せない。花雲になってからなのだろうか。それだけ歌を大事にしている訳で、決して悪い事ではないのだが、何しろ曲作りが進まない。たった一行、何かがあればそれに向かっていけるのだが。先日降りてきた言葉も結局、核となり得る程ではなかった。内心七転八倒。

2005.7.6. 作曲日記

Intro01を詰めていく。これまで作った分を二倍に伸ばし、前半のメロディを変え、後半に音を足す。音色がちょっと似通ってしまった感じがしたので、それをどうにかしようと色々やってみるが余り効果は得られず。再考の余地あり。

それにしてもSD-80はホントにベル系のいいのがいない。困った。

2005.7.4. 作曲日記

例によってMacの前に座っていない時に突然詞とメロディが同時に降ってきた。慌ててとにかく詞だけ書き留める。こういう時に降る音はおそらく詞だけあれば忘れないだろう、と思い、事実そうだった。メロディにドラムをつけ、それからイントロに取りかかる。Effectsで動きをつけ、パッチチェンジを設定したら間違って他の音が出た。が、そっちの方が尖って面白い感じだったのでそのまま採用。

ここ何日か、曲作りをしようとして全く何も出ない、という状態が続いていたが、これで何とか抜け出せるだろうか。

2005.6.30. 録音日記

先日完成した新曲『心象』のテスト録音。…この『心象』という言葉は本当は『遣らずの雨』のタイトルにしようと考えていたものだった。またそれに見合うような曲ができたという事はちょっと最近自己の内面と向かい合い過ぎだな。全ての曲は自分と向かい合って出来上がったものだけれど、内容の特に重いものが続いた。洗いざらいぶちまけている訳ではないので、聴く人に取ってはそうでもないはずではあるが、こういう曲は作っていても歌っていても疲れやすい。慣れる事が必要だ。

予感はあったがやはり最低音が出にくい。毎回こんな事を言っているような気がする。しかし潰れるとだいなしな部分なので最初に半音、後からもう半音、都合一音上げた。

2005.6.27. 作詞日記

昨日の続き。無機質を目指したのだけど、どうもできなかった気がする。きっとこの曲ではなかったのだろう。スペースの取り方や改行の場所にいつも以上に念を入れたので、静寂を感じさせるものにはなったと思う。

少しずつ生まれ出る言葉を眺めながら、記憶との戦いは私の永遠のテーマなのかも知れない、と自嘲した。楽しかったこと、嬉しかったこと、忘れたくないものは面白いほど消えていくというのに。私は時折、歌を作るという事は全て、何かの思いの供養のためなのではないか、と錯覚を起こす。自分は一体何を為そうとしているのか。見失っているつもりはないが、不安が闇のように眼前を覆う気がする。…しばらく忘れていたこの感覚に久し振りに捕われた。やはり私はこういう重苦しいものがなければ、表現のできない人間なのだろうか。

分かっているのは一つだけ。これも、私だ、という事だけ。

2005.6.26. 作詞日記

何も確たるものがないまま作詞開始。取り敢えず一節作ってみたものの、まだぐにゃぐにゃしている。何か核になる言葉が見つかれば固まるのだけど…。しかし、詞よりも曲、言葉よりも音を取るべき作品ではある。余り捕われないようにしよう。

2005.6.25. 作曲日記

分けるとするならBと呼ぶべきパートの後ろに、Aと呼ぶべきパートをもう一度持ってきたら何となく固まってしまった。余りだらだらと長くしても仕方ないなという気がしたので、曲の形としてはこれで決める事にする。あとはA02のメロディを少し変えたり、オケを少し変えたりするつもり。詞はアイデアレベルのものが13文字あるだけで、まだどうなるのか全く分からない。漠然としたイメージだけど、無機質に自然を歌うものになればいいなぁ。

2005.6.23. 作曲日記

昨日の続き。続きなのだけどメインの音、テンポ、雰囲気、全て変える。なんでこんな事になったのかは自分でもよく分からない。しかし違和感がないようには聴こえる。テンポの変え方がPerformerよりもちょっとだけややこしくなっていて分からず、マニュアルを開く羽目になる。メロディはなかなかいい感じでできたとは思うものの、またしても私が歌うにはちょっと微妙な音程になっていて、どうするつもりなんだろう。

雨の音を入れたくて色々聴き比べたのだが、別に全部おんなじに聴こえるなぁ…。もうちょっとしっとりした雨ならよかったのだけど。うーん。

2005.6.22. 作曲日記

実は作曲日記を書いていなかったしばしの間も、ああでもないこうでもないと呻吟していたのだけど、どうにも進まなくなり結局諦めた。奇をてらいすぎたのが敗因かと思う。幾ら何でももう少し花雲らしく行くべきだった。しかしこれまで作った部分は気に入っているので残しておく。

そして今日から違う曲に着手。熱気のこもる部屋で作業をしていたせいか、とても涼しげな曲ができ始めた。『capella』とまでは行かないけれど、あれに近いようなシンプルなものになりそうな予感。47小節、時間にして1分47秒作る。構成のせいかチャンクを分けずにずっとそのまま繋げてしまった。マーカー沢山つけないと。

2005.6.14. 作曲日記

Intro01に音を足す作業から。テンポを無視して動くストリングスを入れたりして、ますます一体どこに行きたいのか分からなくなってきた。我ながらこの状況が面白く、一人にやにやする。

それからA01のメロディ作り。一分くらいで簡単にできた。イントロが騒がしかったので一節目はドラム以外殆ど音を入れず、二節目から色々鳴らす。大体できた処でふと気付いたら、自分の音域としては非常に微妙な感じのメロディになっていた。少し考え、一音上げる。かなり違和感があるが、あと数十回も聴くうちに、最初からこうだったような気になるだろう。

2005.6.11. 作曲日記

暗めのフレーズにわざと明るいコードをつけてみる。やっているうちにだんだん『私は今インストを作っているのではないか』という気になってきたが、今はインストものをアルバムに入れる気はしないので、イントロとして完結すべくメロディを導いていく。この直後にどういう歌が始まるのか1ミリも想像できないけれど、とにかく骨組みはできた。途中で投げ出さずに完成させられるかどうか、甚だ不安。

2005.6.10. 作曲日記

『白い花』の編曲を大体な感じで片付ける。ちょっと時間をかけすぎて、心がもう次の事に行ってしまっていた。すっかり忘れた頃に聴き直して完成させようと思う。

今日からまた新しい曲を作り始める。思いっきり乾いた、テクノっぽい感じのが作りたいと思っていたので、▲91を0に設定する処から始める。ギュルギュルいう音でまず1フレーズ作り、EffectsのEchoをいじったSquareを加える。これだけでもう一体どこに行きたいのか分からない感じになった。私は今までこういう曲を作った事がない。多分、SD-80から出る音がこんな事をさせるのだろう。音源を買い換えたらこういう現象が起こると思っていたし、そういうのを期待してもいた。だからただ音が聴こえるままにそれを写していってみたいものだ。…できるだろうか。

Squareというのは昔から最もよく使うし、テクノになくてはならない音のうちの一つだと思われるが、これに関してはClassicalの方が好もしく感じる。耳に刺さるくらい鋭いのがいい。だからハーモニックコンテントとブライトネスをがんがんに上げた。ホントに耳が痛いくらいだった。

2005.6.6. 編曲日記

数日、熱を出して作業ができなかった。体調が元に戻ったとは言い難いが、寝てもいられない訳がある。

寝込んでいる間、作りかけの曲の事が気になっていた。日を置くと色んな事を忘れてしまうからだ。今日ようやくiMacの前に座ってファイルを開いたが、案の定色んな事を忘れていた。これは本当に自分が入れた音なのか、それとも鳴るべきでない時に鳴るべきでない音が鳴るあの現象なのか、がちょっと分からなかったりした。…この現象はおそらくDigital Performerのせいだと思うのだけど、本当に多い。ひどく苛々する。

しかしともかく99%は完成した。あと一拍くらいの調整で終わる。

2005.5.30. 編曲日記

間奏部分の作り直し。メロディのベロシティがびったり揃っていたので削除して弾き直す。ドラムも削除して打ち込み直す。他二、三の音を足す。SD-80を買った時から使ってみたいと思っていた音も入れた。満足。

それからIntro02、A02、C02、B02と進行。繋げて聴き直したらずーっと鳴りっ放しのトラックがあったのでさすがにちょっと切る。B02はどうもドラムが決まらずあれこれ試したのだが、最終的には一回目は消すパターンで行く事にした。そしてそこにはまた別の音を足す。残りはB02の二回目と、後奏。

2005.5.28. 編曲日記

C01を終えて間奏部分。この間奏には少し思い入れがあるので、原曲から一部コピーしてきてアレンジする形を取る。

チャンクを再生していたら、なぜか再生終了直後に勝手にソングが選択されてしまう現象が発生。意味が分からない。原因も分からない。取り敢えずソングを一旦削除してみた。すると今度はIntro01に移動するのだった。何だかだんだん面白い事のように思えてきてしまったのだけど、このままだと困るのでヘルプを開いた。分からなかった。マニュアルを開いた。二、三、ページ移動させられたが、Control Panelのキューチャンクというボタンをいつの間にか押してしまっていたのが原因だと判明した。これを押すと、一つのチャンクを再生し終わったら次に再生されるべきチャンクに自動的に移動するらしい。なんでこんな機能があるんだろう??

2005.5.26. 編曲・録音日記

昨日の夜から突如として『白い花』を作り直し始めた。元々のファイルをDigital Performerで開いたというのではなく、一から全て打ち込んでいく。やはり音源の問題なのか、ファイルは開けるのだがちゃんとした音が出るまでがとにかく面倒ですぐ嫌になってしまうので、それなら打ち込み直した方が早いと思った訳だ。トラック数とか全体の音量とかは余り深く考えず、元の曲は聴いたり聴かなかったりしながらC01まで進めた。EffectsのEchoをちょっといじったら、今までできた事のない効果が生まれた。おおお! そうか。この機能は多分、こうやって使うのが正当だったのだな。正当なものが正解だとは限らないのがDTMの面白い処ではあるが、この部分に関して言えばこれでいいのだと思う。

そして今日になって『遣らずの雨』のテスト録音。難しげに思えるがマイクを立てたら簡単に歌えるだろう、と思っていた箇所はその通り簡単に歌えた。簡単のようだがマイクを立てたら思うようには歌えないだろう、と思っていた箇所はその通り歌いにくかった。自分の事が分かるようになってきた。

2005.5.25. 作曲日記

昨日途中で諦めた後奏を仕上げて、完成。まだ色々と足せば足せそうな気もするが、一旦これで置いてみようと思う。タイトルは『遣らずの雨』。元々、まるで来客を帰さないためであるかのように降ってくる雨、の事だが、実は全然違う意味でタイトルに使い、あとから詞で辻褄を合わせた。詞は私の作品の中でも割合に意味の捉えにくい方だと思う。ここしばらくはずっと、かなり分かりやすく言葉を選んでいたつもりだったが、久々にこういう詞を書いた。面白かった。

2005.5.24. 作詞・作曲日記

どうもタイトルがちょっと唐突なのが気になっていたので、それに合わせて詞を少し直そうと、しばらく画面を睨んでいた。まずB02を考えて、それでも何か物足りないので更に書こうと思ったが曲の構成としてはもう終わってしまっている。C02の最後の一節が気に入っているのでそれをもう一度繰り返す事にして、そこに言い足りない事をねじ込んだ。そして一瞬後には前からあったのと後から作ったのの順番を入れ換えた。これで完成。

曲の方も後奏をつけて今日で完成させようと思ったのだが、どうにも体が重く、そこまでできなかった。いい加減作り終えてしまわないと、そろそろ飽きる。

2005.5.22. 作曲・作詞日記

先日作った詞は結局C02になった。合わそうとして作った訳ではなかったが、C01のオケを聴いていたら別のメロディが浮かび、それが何となく詞に合ったので多少やりくりして採用。C01とは全然違うメロディだけど、まるで最初からこのメロディのために作ったかのようなオケだ。A02からすぐに続けようかと思ったが、ちょっと無理があったのでB02を作って入れる。曲の形としては極めて普通に同じ事を二回繰り返す感じになった。私の作品としては珍しい事である。

2005.5.20. 作詞日記

既にできているオケを聴きながらA02の作詞。三行目までは割とすらすら出た。最後の四行目はどうやっても出ないので、タイトルに飛ばして(何を?)、次の行を使う。

続けて次のパーツの詞も考える。これはB02になるのか、C02になるのか、D01になるのか、はまだ分からないが、タイトルをきっかけとして余り時間をかけずにできた。これで大体詞としては形になったと思う。明日からまたオケ作り。

2005.5.18. 作曲・作詞日記

全体的に聴き直して、気になる部分の音量や音の長さなどを調整。C01のオケに音を足し、メロディを少し追加する。それからA02の作詞。『天水』のように或る制約を課して作っているので割と難産。今日は13文字。

昨日からどこという事もなく体の調子が悪い。さっきからずっと目眩がしているので、ゆっくりとしか動けないでいる。

2005.5.17. 作曲日記

引き続きC01。何となくそんな予感はあったのだが、今日はようやく少し音が降った。不思議な事に音が降る日というのは直感的に分かったりする。嬉しがってどんどん足していたら他のパーツに比べてちょっとうるさくなってしまったので、音量調節。Intro01を切って後ろに繋げる。これで何とか形ができてきた。この後はおそらくまた詞を書いてからでないと進まないだろう。

2005.5.15. 作曲日記

昨日からC01のオケ作りに取りかかっているのだけど、どうも進まない。作っては消し、作っては消し。とてもいい感じで進んできただけに、ここで雰囲気が壊れたらだいなしだ。ようやくの事でドラムとコード、ベースを入れるが、これで行けるかどうかはまだ分からない。悩む。

2005.5.13. 作詞・作曲日記

Aメロの詞を書かないとどうにも先へ進めない事が分かったので、まずは作詞から。形状的にはイメージがあったので音から言葉を聴き取り、意味があるように繋げていく作業。普段使わない言葉を探すため、かなりの時間、辞典を眺めていた。面白い。出来上がったら続けてBメロの作詞。これは少し前に書いた断片が生きた。半角スペースがポイント。

並行してBメロのオケ作り。ここはベースは要らないかも、と思ったので入れずに進む。代わりに他のトラックで低音を効かせる。後半はドラムを少しうるさくしたのだけど、音を重ねすぎたのかどうももたつくのであちこち消した。SD-80は鍵盤を叩く強さで音の鳴り方が変わるものが結構あるが、スネアが最もその傾向が顕著だ。これはありがたい。

最後にCメロとその詞も作りかけたものの、どうもしっくり来ない。作り直すかも。

2005.5.10. 作曲日記

とにかくイントロに音を足す作業。倍の長さにして最初は少し音を抜き、二回目からうるさくする。ストリングスとフルートで裏メロを入れていたのだけど、途中から音量を逆転させてメインのメロディにした。

A01は最初の八小節くらいメロディができているので、取り敢えずベースを足す。問題はどんな詞をつけるかだ。言葉と音とが余程びったり合っているものでないと、この曲は成功しないだろう。核になる言葉が出るまでかなり悩みそうだ。

2005.5.9. 作曲日記

どんな曲を作るか全く考えずに、まず音を選んだ。鳴らしているうちに自然と最初のフレーズができてくる。思いがけず暗い感じになってしまったが、しかし、私の中にある『暗さ』の基本的な感じとはちょっと違う。今までこういう曲は多分作った事がない。それだけに少しわくわくする。うまく続けていけるだろうか。

2005.5.7. 録音日記

ところでこの曲のタイトルはまだ決まっていない。

もう多分そうなるだろうなっていう事は作っていた時から分かっていたのだが、音程を上げた。作ったままの音程でも歌えなくはないのだけど、やはり最低音が少し聴き取りにくい。これも予想はついていた。自分の音域は知っているし、作りながら座ったまま歌うのと、マイクを立てて録音ボタンを押してから歌うのとでは全く違うという事も知っている。が、なぜかいつもその低いと分かっている音程のまま作り終えてしまうのだ。

予想していなかったのは半音では足りず結局一音上げたという事だった。それで(今日の処は)納得の行くものが取れたのでよしとする。

2005.5.5. SD-80+VF80での録音に関する備忘録

実は今日まで、作曲はできるが録音ができる環境にはなっていなかった。SD-80での最初の曲ができたので、取り敢えず録音できるようにならなければ、とようやくVF80(MTR)への接続に取りかかった。マニュアルなんか読んだって分からないので(しかも理解しようとして読んでいるのにも拘らず、である)、全て勘でやるしかない。最悪サポートにメールで訊く事も考えていたが、あっちに繋いだりこっちを抜いたりして、結果としてはできるようになった。SD-80には光デジタルケーブルを繋げられるようなので、今は使っていない初代CD-Rレコーダーに繋がったままになっているケーブルを抜いてきて使ってもいいなぁと漠然と考えていたが、VF80には端子がないのだった。やむなくRCAピン(という名前だったと思うのだが)で繋ぐ事にする。

結論としては、SD-80の側はOUTPUTの1。それをVF80のINPUT BのUNBALという処に繋ぐ。これでレベルメータは振れてくれる。ただし、この状態だとスピーカーから音を聴く事はできない。スピーカーに繋がっていたRCAピンを抜いてVF80に繋げたからだ。SD-80にはOUTPUT 2という端子もあるのだが、これは特定のパートだけを別に出力する(??)端子らしいので1と同じ音は出ない。ゆえに、曲作りの間はスピーカーに繋ぎ、録音の時はVF80に繋ぎ、音はVF80からヘッドホンで聴く、という面倒な事になったようだ。ただ一旦VF80に収まった音はST OUTとスピーカーとを繋げば聴く事はできる。

………ん? 今気付いたけど、このまま曲作り中の音も聴けるんじゃないの?(−確認中−)あ! 出た! 出た!

そうか。しかし、これだと用もないのにVF80の電源を入れてなきゃいけないという事になる。まぁ、MU80で作っていた時もそうだったのだけど、SD-80だと使う電気をちょっとだけ減らせるという事なのだな。

2005.5.2. 『騒音に沈む針』全曲解説・10 >『いつか過ぎる雨』

この曲はとにかく歌うのが大変だった。『天水』といい勝負だった。何がと言って、サビの息継ぎのタイミングが非常に厳しいのだ。『いつか過ぎる雨と 見定めてここで待つ』までまず一息。『今まではその繰り返し』『ようやく私も』で息継ぎ、『歩き始めて』から『いつか過ぎた天と 見渡して思い出す』までが一息。これが実に長い。『天水』の苦しいのはまぁ、勢いだけでも乗り切れる苦しさなのだけど、こちらはそうは行かず、最も丁寧に歌わなければならない箇所なのだ。おまけに私は息を吸った音が録音されるのが余り好きではない。苦心した。ボツテイクの山を築いた。

当時の日記を読むと、最初からアルバムのラストに入れるつもりで作っていたようだ。タイトルの候補が二つあると言っているが、もう一つは確か『天望』だった。これだと『天』シリーズが三つになるのでそれもいいなぁと思っていたのだが、やはりこのタイトルにして正解だったような気がする。これも今作のキーワードの一つである『自分』が非常によく出ている詞だ。実際にあった事、実際に思った事、しか書いていない。相応の時間が経ったらこの曲を振り返って、こんな事を考えていた頃もあったなぁと苦笑できるようになりたい。そう思いながら作っていた。

『騒音に沈む針』の全曲解説もこれでとうとう最終回。長々とおつきあい下さった皆様、ありがとうございました。

2005.5.2. 作曲日記

後奏を作ろうと思ってイントロを土台にして進めていたのだけど、作っているうちにだんだん間奏と後奏を入れ換えた方がいいような気がしてきたので、そうする。それに伴って二番の歌の入りも少し変更。二回目のサビの音程も変更。そしてイントロに少し手を加えた後奏をつけたり、全体的に気になる部分を直したりして、一応これで完成。三分半以内の曲にしようと思っていたのだがちょっと出た。歌詞は既に全てできているので、あとはタイトルをつけるだけ。さっきから考えてはいるものの、まだ決まらない。

2005.4.30. 作曲日記

サビであるC01の最後の部分のオケ作りから。ベースの動きをそこだけ変えたのを、何となくおかしいかと思ってその直前の四小節と入れ換える。しかしその後、結局は違う音で同じ動きのフレーズを最後の四小節にも入れる事にした。それはそれでよし。音が薄いかと思ってストリングスの低音を効かせたらうるさくなった。が、別にうるさくてもいいパーツなのでそのままにする。

この後の展開をどうするかで散々悩んだが、今日の結果としてはIntro02→A02→C02、という感じ。当初のイメージではAメロを曲の一番最後に持ってくる事になっていたものの、やめそう。このままC02の終わりと共に曲を終えられるが、フェイドアウトする後奏をつけようかとも思っている。

2005.4.26. 作曲日記

多分そうするだろうな、と考えていた通り、昨日作ったサビへの繋ぎを全部削除した。結局ドラムの短いフィルインを入れてすぐサビに入る事に。うるさくしようと思っていたので早速ドラムをどたばたさせる。あと和音を二つのトラックで鳴らし、ベースを入れたら大体それだけでいいような気になってしまったが、もう少し何とかしようと思う。ずっと気になっていたイントロ部のハイハットの音量調整。すっきりした。

2005.4.25. 作曲日記

今日ふと気がついたこと。MU80で作っていた頃はおよそ8くらいのトラックで同時に音が出ていたが、今は5か6くらいになっている。意図してそうした訳ではないので、自分の耳の感覚で『大体このくらいだろう』と判断したのがそのトラック数という事になる。これはつまり、SD-80の方がそれだけ音が豪華に聴こえるという事なのだろうか。

B01の後半のオケ。迷わず進んだ。ここまではよかったが、問題はやはりその次、サビであるC01への繋ぎだった。まずドラムが決まらない。一旦区切った方がいいのかと思って四小節の間を開けた。しかし今度はそこに入るメロディが決まらない。ああでもないこうでもないとやってみたが今日の処は結局収まらず。うーん。悔しい。

聴き返していたら何でもないチャンクの途中でいきなり音量ががんと跳ね上がったので驚かされた。が、もう一度再生してみたら何も起こらなかった。Digital Performerってこういうものなのかなぁ。音が延びっぱなしになるあの現象もやたらと発生するし、Performerでは起きなかった色々な面倒な事が起きやすい傾向にある。全ての面でPerformerを上回ったものと想像してDigital Performerを購入したので、何かある度にちょっとしたストレスを感じる。

2005.4.22. 作曲・作詞日記

違和感を緩和するためにつけた四小節に少し音を足してから、B01のオケの続き。歌詞で言うと二行目。基本的には一行目のコピー&ペーストで。そうするつもりはなかったのだけど聴き返してたら急に『ま、いいかぁ』となった。私としては普段あんまりないタイプの『ま、いいかぁ』だった。このパーツにはモノフォニック(同時に一つの音しか発音できない楽器、またはその状態のこと。今検索して知りました)の音を使っているがこれは今まであんまり使った事のない系統の音だ。もしかしたら初めてかも知れない。それを二行目はもうちょっとうるさくした。嬉しかったので。

そしてその後の歌詞にメロディをつけようとしたが、うまくいかないので削除して書き直し。よくなった。これは元々或る芸術作品を見た後に書いた断片を核とした詞なのだけど、作っているうちにだんだん自分の事になってきた。何かに感銘を受けて書いた詞でも、私自身の思いや体験がそこに入り込まないという事はない。足したり引いたりしているうちにいつの間にか、自分の事になる。

さて。次はこれに、既にできているサビのメロディをどうやって繋げるか、だな…。

2005.4.20. 作曲日記

例によって、再生を止めると設定がリセットされる件。今日の発見としては、ソングは別に影響しないらしい。ただ、一旦そのシーケンスの頭に設定(パッチチェンジは要らない様子。Volumeは必要)を入れると、例えそれを削除した後でも再生をどこで止めたかに関わらず、正しい数値を飛ばしてくれるようだ。…これで解決だろうか。どちらにしても、相当変な現象だ。ややこしいなぁ、Digital Performerは。

さて、曲作りの続き。B01の最初の一節のオケ。歌詞と、オケの大体のイメージはできていたのでそれを具現化する作業。かけ離れないように作ったつもりだったが、繋げて聴いたらやっぱり違和感があったので急遽、イントロの後ろに四小節つける。いつもは大体違和感をそのままにしておくので、珍しい事をした。

2005.4.18. 『騒音に沈む針』全曲解説・9 >『空に溶ける赤』

『天音』と同様、このアルバムの中で特別な位置にいる曲である。当時の日記にも書いたが、その時私は『自分の目の前で、飼い猫が車に轢き殺された話』を聞き、この曲を作り始めた。生の途中で断ち切られる命。やり切れない思いが溢れ返った。『上の方が まるで天国のよう』な雲の狭間は実際に目にした光景。『ああ、ああいう処にきっと天国があるんだろうなぁ』と思ったのを詞にして使った。そしてまた赤い月というのもこの頃初めて見たものだった。それまで月が赤いなんていう事はあり得ないと思っていた。目に入った時の印象は『恐れ』や『気味悪さ』だったが、なぜ赤いのか、を考えた時に『きっと地上で流れた血が天に昇ったのだ』と取りようによってはさらに気味の悪い仮定をした。しかし、その血にはおそらく魂が残っているだろう。天に昇った血は雲を染め太陽を彩り、月に混ざり込むのだろう。形がなくなったとしても、あの赤い色は生きていた時と同じように記憶に残るだろう。

私は飛行機に乗った時、雲の群れを見下ろしながら、これまでに見送った命を思い返す。もしかしたら今あの辺に座って、こっちを見ているのかも知れない、などと空想する。…バカげた事だと一笑に付されるかも知れない。こんな事をさせるような経験は、しない方が幸せなのだろう。しかし、やはり、彼らと一緒に過ごした日々は、この悲しみよりずっとずっと大きくて、大切なものだ。

2005.4.18. 作曲・作詞日記

昨日の作業に納得が行かなかったので、iMacの前に座るなりDigital Performerを起動。昨日選んだベースの音も結局変える。ベル系の音を少し足そうと思ったのだが、いいのが見つからない。何だかおおむねがしゃがしゃした音だ…。もっとこう、繊細なのが欲しいんだけど。色々鳴らしてみて、ベル系じゃない音に落ち着いた。SD-80はどんな音が得意なんだろうなぁ。まだ掴み切れていない。

歌詞のメモを眺めていたら突然次の一節が降りてきたので慌てて書き足す。書きながらメロディも大体ついたので別のチャンクを作って保存。曲の形が見えてきた。今の処、メロディ、オケ共にどこにでもありそうな或る種のオリジナリティのない音楽っぽい感じになっているのが自分でおかしくて仕方ない。ただ『空に溶ける赤』を作った時も最初はこんな風に思っていた訳で、今後どうなるかは分からない。とにかく分かりやすいメロディを、と思っていたらこうなったのだ。

そういえば、再生を止めると設定がリセットされてしまう件、についてはその後シーケンスの頭に設定を入れる事で回避していたのだが、それだとシーケンスが切り換わった時にやはりどうしてももたついてしまう。何とかならないものか…と考えながら何気なく設定を削除したら、別に影響はなかった。えぇ!?(笑)それから色々試してみた処、一旦ソングに入れてしまった後だと設定リセットが発動する模様。つまり、曲が出来上がった後でソングを作ってチャンクを入れればいいという事か。しかしこれだと完成するまで前後の繋がりが確認しにくく、非常に不便。

Digital Performerにはまだまだ分からない事が沢山ある。リシェープしようと思ったらスクロールしないし…。環境設定で何とかなるのかと思ってあちこち押したり外したりしてみたけど、まだ改善されない。うーん。マニュアル読むの嫌だなぁ。

2005.4.17. 作曲日記

多分そうするだろうなぁと考えていた通り、一昨日作りかけたイントロをドラム以外全て削除した。作りながら既に違和感はあったのだが、改めて聴き直したらやっぱり変だった。30秒くらいで考え直した今日のメロディの方がまだ増しだ。ストリングスがだらだら延びているようなオケにしようと思っていたので、そうする。

続いてベースに取りかかったが、全く成果上がらず。どうにか音色だけ選ぶ。

2005.4.14. 作曲日記

昨日の続き。最初の一節とほぼ同じメロディでもう一節の歌詞ができていたので、その部分の打ち込み。最後のコードだけ変える。歌詞がどうしても余る感じだったのを、前後を入れ換える事によって解決。これでA01は完成だけど、また歌始まりにしてしまったのでこの後前奏を考えなければならない。

そういえば再生を止めると設定がリセットされてしまう件、は、どうやらチャンクだと問題ないらしい事が判明。ソングだとダメっぽい。どういう事なのかはまだよく分からないが、少なくとも曲を作っている間はこの現象に悩まされなくても済みそうな予感。

『騒音に沈む針』全曲解説が滞っておりますが、必ず最後まで行きますのでもう少しお待ち下さい。

2005.4.13. 作曲日記

今年もついに作曲日記開始。実は少し前にも一度曲作りをしようとした事があったのだけど、その時はDigital Performerの設定が落ち着いてなくて途中でやめたのだった。しかし今日からついに開始。Aメロだけできていて、忘れないように時々頭の中で歌っていた断片を打ち込んでいく。音色が飛躍的に増えたので選ぶまでが一苦労。それにしても、同じ音色なのに選んだトラックによって鳴りが違うのはどうしてなんだろう? ものすごくうるさいギターの音、が欲しくて『GO WILD!』という名前の音(笑)を使ったのだけど、トラック2で鳴らした時の音が多分正しい。他のトラックでこの音色を選ぶと、なぜか非常にチープなベースの音みたいに聴こえてしまう。ブライトネスとかハーモニックコンテントみたいなものはまだ一切設定してないのだけど…不思議だ。

不思議と言えばドラムトラックが10にしか設定できないというのもなぜなのか分からない。システムエクスクルーシブを飛ばせば11もドラムトラックにできるような事が説明書に書いてあったが、Performerでは単にパッチチェンジだけで幾つでもドラムトラックにできたのに。しかし昨日手入力で打ち込んでみたら、何もややこしい事をしなくても11がドラムトラックになってくれた。ただしパッチ名が出る処には全く違う音色名が表示されているが。…不思議だ。

2005.4.12.

今日はパッチチェンジに関して多くの時間を割いた。パッチリストは見つかったものの、トラックからの音色変更命令をSD-80が受け取らずにいた。しかし冷静になって考えれば当然の事だった。私の以前の曲データはYAMAHA音源MU80で作ったもの。それをローランドの音源で再生しようとしているのだから、設定が違って当たり前。ただそれをSD-80の法則に当てはめるのに時間がかかった。結論としては説明書にPCと書かれているのがPatch Changeの最初の項目。MSBと書かれているのが次の項目。ここを変えると音色セットが切り換わる。そしてVoiceが最後の項目だ。うまく番号が当てはまれば音色名が後ろに出るので、後はそこから選べば楽に変更できる。がんがんNATIVEモードに変えていった。傾向としては『fact and crime』や『空に溶ける赤』といったやかましい感じの曲の方が楽に移行できるようだ。『過去から照らす星』はよく分からないけど鳴ってない音が一杯あった。SD-80の実力を実感したのは『fact and crime』だった。MU80で私が出したかった音が全て出ている! 思わず動悸が早くなった。

音を変更するのに幾度も再生していて気付いたのが新たな問題だった。再生を停止するとパッチチェンジの設定がリセットされてしまうらしいのだ。Performerでは曲の頭に置いてある設定を一度読み込めば、他のファイルを開くまでずっとその設定が生きていた。しかしDigital Performerでは例えば一小節目に設定があるとして、五小節目を再生すると設定は読み込んでくれないのだ。つまり途中からの再生ができない。一旦止めたらまた最初から聴き直し、しかも、早送りや小節数入力も受け付けてくれない。ものすごく不便。しかし絶対に何か方法があるはずだと思って、重たいマニュアルのあちこちを眺めた結果、Setupメニューの『Set Event Chasing...』が関係していそうだったので全てチェックを入れた。すると三小節目から曲が始まる場合の三小節目スタート、的な事はできるようになった。

が、それでも、途中からの再生はまだできないのだった。どうしたらいいのだ。

2005.4.10.

今日はとにかくMacの前に座っている間中、どうやったらDigital PerformerにSD-80のパッチリストを覚えさせる事ができるのかを調べていた。もうくたくたです。SD-80の説明書を読んだり、DPのマニュアルを開いたり、検索したり、ダウンロードしたり、無駄足だったり、FreeMIDIに対応してなかったり、NOT FOUNDだったり、英語が読めなかったり、その他色々だったりした。しかし絶対に何か方法があるはずだとは思っていた。私が最初に買おうと思っていたSC-8850だとパッチリストを自作している人はいるのだが、SD-80となるとなかなかいない(いても今はダウンロード不可だったり)。そして今日は取り敢えずもうやめるか…と考え出した頃、ようやく見つけた。あ、あ、あった! 思わず緊張してしまった。スクリプトを書き換えなければいけないようだったので、その領域に足を踏み入れた事のない私は非常に不安だったのだけど思い切って実行した。それからDPの方でAudio MIDI設定をああでもないこうでもないと変更し、そして、ついに、ついに、音色名がずらりずらりと溢れ出たのだった。感動。

2005.4.6.

音色の名前が全て番号で表示される件、については半分くらい解決した。Audio MIDI設定のSD-80のプロパティ(プロパティって何だろ?)の中の『General MIDI』にチェックを入れたら、とにかく基本的な音色の名前だけは出てきた。ただしその基本的な音色から派生する応用的な音色の名前は出て来ない。そして何より困るのがドラムの音色名が出て来ないという事だ。SD-80の方でいちいち手動で設定しなければならないので非常に面倒である。しかしだんだんと曲が読み込めてきた。次にやるべきは、『SD-80の性能を最大限に引き出す事ができる音源モード』NATIVEモードに移行していく作業だ。これでなければ音源を買った意味がない。

Digital Performerの方も本当に少しずつではあるが、基本的な事に関しては分かってきた。例えばポインタツールとペンシルツールはPerformerにはなかった便利さだ。ヘルプ以外英語なのは相変わらずだけど…。

2005.4.5. 『騒音に沈む針』全曲解説・8 >『simple cheers』

これも詞は非常に分かりやすいと思う。実際に何人かの友人の事を思い浮かべて書いた。そして、自分に対して言い聞かせたい事も盛り込んだ。オケは意図的に軽くしてある。コーラスは考えるまで苦労したが、実際歌うのは楽しかった。『近頃風に吹かれているかい』からの一節のような、前のフレーズを追いかける形のコーラスは初めて入れた。最初はなぜかちょっと照れもあったのだが、これも最終的には楽しく歌えた。

人が本当に苦しんでいる時は、どんなに言葉を尽くしても真になぐさめられるものではないような気がしている。しかし、そうだと思っていてもやはり放っておけない。君の事を考え、案じている者がここにいる。何の助けにもならないかも知れないが、この気持ちが少しでも伝われば。そう思いながら作っていた。

2005.4.5.

iMacのデータが飛んでMIDI関連の設定を全て失ってしまったので、仕方なく一からやり直し。しかし先日一度はうまくいったものが、今日はどうやっても音が出ない。ああでもないこうでもないと色々試しているうちに、取り敢えずスピーカーからだけは音が聴こえるようになった。続いて新規ファイルでも成功、ただしなぜか4トラックだけしか出て来ない。マニュアルを少し読んだが、少し読んだくらいではよく分からなかった。1000ページ以上もあるマニュアルをじっくり読む時間が惜しいので、とにかく今日の処は音が出ただけでよしとする。最後に残った問題は、旧Macから持ってきた以前の曲データの音が鳴ってくれない事だった。どこをどうしたのがよかったのかは分からないが、夜になってこれも何とか解決。しかし、何と、Digital PerformerはSD-80のパッチリストを知らないらしい事が判明。おかげで音色の名前で表示されて欲しい処が全て『01』『02』などの番号だ。これじゃどこにどの音があるのか全然分かんないよー!

動揺を抑えて、『椿星』を再生してみる。ああ。ドラムパートがどうやってもおかしい以外はなかなかいい感じ。システムエクスクルーシブは生きているようなので、だんだんと音を選んでいく。前半はピアノのみの『椿星』だったが、最後はそれなりに原型に近くなった。

ファイルを選ぶ時にこの曲にしたのは単に『何となく』だったが、聴いているうちになんだかしみじみとした気持ちになった。これは4か月という少し長めのスランプからようやく抜け出す事のできた曲だ。私としては、三年以上もの長い長いブランクから復活した『白い花』と同様に、特別な思い入れのある作品である。

2005.3.27. 『騒音に沈む針』全曲解説・7 >『天音』

アルバムの中でも何だかこの曲は特別だ。当初は『天音』をアルバムタイトルにしようと思っていたくらいだった。詞は、かなり分かりやすい方だと思う。書きたいと思った事を、殆ど何も捻ったりせずにそのまま書いた。『見上げる私の前で』から『幾つもに分かれて』までの一節も、私が実際に見た光景を元にしている。2003年8月の日記にも書いた話だが、真っ暗な部屋で月を眺めていたら、だんだんその輪郭がぼやけて二重にも三重にも見え、そのうちに一つのかけらがゆっくりと落下して、私の視界から消えたのだ。あんな事は初めてだった。月に対して『空に貼りついている』などという粗悪な扱い方をしたのも初めての事だ。いつも月には特別の敬意を払っているが、この時は味気ない感じを出したくて敢えてこういう表現を使った。

歌としてはそれほど難しくもないのだけど、『うまく歌えたかどうか』以上に『きちんと感情を入れられたかどうか』という点において幾度も録音し直した曲。『夜空を斬って飛び回るあの翼|大きな鉄の翼に怯えながら』という一節は、最も力を入れて歌った。故にここだけ録音レベルが跳ね上がってしまい、マスタリングの段階で急遽『Telephone』のEQをかけた。これはこれでよかったと思っている。

『目の前の小さな悲しみ』と『常世の国を包む悲劇』。一体どちらが重いのか、よく考えていた。他人からは『小さな悲しみ』に見えたとしても、それを抱えている当人に取ってはひどく重いものかも知れない。どんなに大きな悲劇が起こっていたとしても、それが遠く遠く離れた国での出来事ならば、それよりも自分の日常に混ざり込んでくる幾多の取るに足らない出来事の方がずっと現実的だし、重要である場合が殆どだ。それでも私は、あの頃本当に毎日、遠く遠く離れた国で続いている悲劇の事を気にかけていた。きっと、どちらが重いのか、ではない。どちらも重いのだ。

2005.3.26.

とうとう、Macと音源の買い換え、そしてソフトのアップグレードを実行する時が来た。既に全て注文済みの中、一番にSD-80(音源)が届いた。箱の中から本体が姿を現わした時、思わず「ようこそ」とつぶやいた。とりあえずヘッドホンを繋いで電源を入れる。おお! ディスプレイが青い! これは非常に私好みの色だ。嬉しい。それから一時間半くらい、夢中で音色のプレビューをしていた。店頭で視聴させてもらった時は、笛系の音が少し弱いかと思っていたが、色々探すとまぁまぁ使えそうなものもある。ハープ系の音はまだやや心配。実際に自分の曲で鳴らしてみないと何とも言えない処はある。

2005.3.24. 『騒音に沈む針』全曲解説・6 >『疾走』

歌詞本の余白に、バウンス及びマスタリングの際の注意点が書いてある。今読んでみると何をすればいいのかさっぱり分からない。これはこの曲に限った事ではなく、今回エフェクト関連はものすごく一発取り要素が強かった。もう同じ事はできないと思う。非常にスリリングだった。

収録曲中、一番最後に完成したのがこれ。当初の日記には『アルバムのバランスを調整する曲になるのかも知れない』と書いていて、作っている間その事を意識していた。2ndの時もこういう事があった(2ndでは『暖かな光』がそれ)。オケは何と六日間で完成させている。ただし、詞の完成はおよそ二十日後。余りないパターンだ。オケを作っている時に、詞のアイデアを全く何も出していなかったためにこうなった。難産だった。この詞のテーマについて説明するのは難しい。私自身にもまだ、判然と掴み切れていないからだ。

その頃、私は『考える事』に非常に多くの労力を費やしていた。毎日考えて、考えて、考えていた。そして考える事に疲れ切っていた。なぜこんなにも考えて、考えて、考えなければいけないのか。気が変になりそうだった。私の中の『考える私』だけが分離して別の一個の存在になったように感じていた。−ここまで書けば何とか補足になるだろうか。つまり『疾走』には『私』しか出てこない。『君』も『私』も『私』なのだ。

一体何をそんなにも考えていたのか、今となってはもう一つも思い出せない。或いは、思い出したくないだけなのかも知れないが。

2005.3.13. 『騒音に沈む針』全曲解説・5 >『安住の地』

二番(と呼ぶべきか)の歌詞が一番最初にできていた。これは私のもう一つの居場所について書いた詞だ。しかしどうも思い切って書く事ができず、歌詞も、歌い方もなかなか固まらなかった。音域的にはそうでもなかったが、意外と苦労させられた曲。今までなかったタイプの作品だからかも知れない。力を抜いて歌う事に必死になっていたのだが、成功しなかった。まだまだだなぁ。いつかは使ってみたいと思っていた『FRANGE』というエフェクトを『殆ど波風は』以降の一節で使っている。面白い効果は出ていると思う。

その場所はとても大事な処だ。ずっと以前にも似たような居心地の場所を持っていたのだが、ある時自分の意志で、跡形もなく叩き壊してしまった。それは私自身に取っても非常に大きな痛手だった。もう二度とあんな場所は作れまいと思っていた。しかしそれから幾許かの時間が経って再び似たような事を始めた時、新たな、沢山の縁を得た。そこに集う人たちと取り留めのない話を続ける事は、リハビリにも似ていた。私は立ち直った。この感謝を歌にしたい、と思っていた。

2005.3.4. 『騒音に沈む針』全曲解説・4 >『gardenia』

私が最も好きな花の名前を曲のタイトルにした。gardenia、すなわちくちなしの花。もちろん『朽無』とは書かない。これは今作の幾つかのキーワードのうち『自分』について書いた詞で、2004年5月28日の日記に書いたような事がベースとなってできた。音楽を聴くという事が苦痛だった時期があったのだ。私に限ってはそんな日が来る訳はないと思っていたのに。しかしその苦しみを書いたというよりは、そういう頃もあったなぁ、と振り返って感慨に浸った、という方が正確だ。アルバムの中に三拍子の曲を一つくらい入れようと考えていたので、最初はオケから作っていった。攻撃的、破壊的な要素を求めてギターの音も入れてある。エコーのかけ方には気を使った。エコーというエフェクトが最も生きたのはこの曲ではないかと思う。『B02の後半のオケ』を作っている時に有頂天の『WHY』冒頭のフレーズが突如降りてきてはまった、と当時の日記に書いているが、どうやらその後で間奏に移動させたらしい。二番が始まる直前に少し形を変えて入っている。

静寂とは時にひどくうるさいものである。音の鳴らない部屋に身を置いてその事を知った。静寂ほどやかましいものはない、心が乱れている時は。

2005.2.22. 『騒音に沈む針』全曲解説・3 >『静嵐』

『美しく過ぎる日々』発売以降最初に作った曲がこれ。こういうタイプの曲は非常に安易なやり方でできてしまうので、余り作らないようにしている。調子のいい時はただ気分のおもむくままに音を重ねていけるのだけど、一旦つまずくとどうにもこうにも抜け出せなくなる危険性も持っている。自由度が高い故に、盛り上げ時や終わらせ時を見失ったりもする。アルバムを作り終えて長いブランクがあった後で、よく完成したものだとちょっと不思議にも思う。

当時の日記には『おそらく高校時代に書いたと思われる断片を許に作ろうと目論んでいる』と書いている。出来上がってみると残ったのは『震えてる』というたった四文字のみだ。他は全て必要に応じて書き換えてしまった。過去の自分とのセッションは難しい。音がうるさくなる部分の一節は曲作りと同時進行で書いていたもので、『この世と天を一夜に繋ぐ境目の如き雲の群れ』というのは飛行機の中から見た光景を詞にしたもの。景色を見てただ美しいと思うばかりでなく、そこに色んなものを勝手に加味する癖がある。『倒れてなお枝を延べるあの桜』というのも実際見たもの。根元からぐにゃりと完全に横倒しになっているのに、咲いていたのだ。これまで全くそういう事はして来なかったけれど、この曲に関しては『詩』を意識した。歌詞の見た目にも気を使っていると言っても、或る程度はメロディに連動しているのが常だったが、メロディを全く無視してただ言葉だけを強調できる並び方にした。

『溶けて』の歌い方については作った時から決まっていた。ただ、自分のイメージにボーカリストとしての表現力が追いつかなかったような気もしている。

2005.2.17.

今月初めに札幌に行ったついでに、楽器屋さんに行って音源の視聴をしてきた。これと思っていたローランドのSC-8850があるかどうか訊いたら、何と既に製造中止が決まっているという。ショック。ローランドでのオススメ音源はSD-90だという事で、その音を聴かせてもらった。鳥肌が立った。10年変えずにいる間にこんな事になっていたのか!

帰ってきてから電話が来た。録音関連の機能がいらないのであれば、SD-80の方が音は一緒で安く買える、と教えてもらった。その時の提示額は78540円。ネットで探したら69069円というのがあった。この差は大きいのだけど、買った後で何か分からない事が出てきた時どうするかを考えたら、多少高くても楽器屋さんから買った方がいいかなぁ…と思うようになった。そして今、もっと安くできるかどうかメーカーに問い合わせてもらっている。

2005.2.10. 『騒音に沈む針』全曲解説・2 >『幻影京』

これは私の最速記録かも知れないが、およそ二日で作った曲。こういうスピードでできたのは、何かに怒っていたからだ。何に怒っていたのかはもうすっかり忘れてしまったから、きっと大した事ではなかったのだろう。ただ怒りがこの曲を作る原動力になったという事だけを覚えている。曲先行だったので、メロディやオケの作り方は割と型にはまっている。何をテーマに詞を書くか、全く考えていなかったので完成してから苦労した。多分、私が実際体験してメモに書き留めてあった一文、『今いる道は 黒雲の下に続いてる』辺りが最初にできたのではないかしら。そしてその後のサビに、当時のニュースを見ていて書いたメモから抜き取った言葉を置いた。ただ『君はやがて疲れ 雲を抱き眠る』という部分は高校の頃書いた断片から持ってきたもの。こんなものを書いた事は完全に忘れていたのだけど、何だか妙に気に入ってこれで曲を作ろうと、メロディまで考えていた。が、結局発展しなかったのでこの曲に使った。サビのコーラスは自分でもかなり気に入っている。メインのメロディとは全く関係ないコーラスを作る、という作業は『天水』『疾走』でもやっているが、この曲が一番成功している感がある。バウンスをしている時に思いついて、『それが正しいのか分からぬまま』の後半部分だけボーカルエフェクトを消した。今作唯一の生声部分。

『争わない国』なんていうものはやはり『在りはしない幻』なのかも知れない、とも思う。それなのにこの人はどこかに向かって進んでいる。それは強い意志を持ってそうしているというよりは、止まる事は許されない、後戻りもできない、という他動的な状況のような気がする。しかしそれでも、進まないよりは増しだろう。何もしないよりは増しなのだろう。

2005.2.1. 『騒音に沈む針』全曲解説・1 >『天水』

これは詞の最初の行が一番初めにできたと記憶している。それを許に或る制約をつけて詞の形を決め、それに添うようにメロディを考えていったのだ。こういう曲の作り方をしたのは初めてだったので、割と面白がったと思う。しかし録音は大変だった。一番苦労した。ただ通して歌うだけでどっと疲れる曲なのだ。

『赤く大きな天体』というのは、当時地球に接近していて肉眼で見る事のできた火星のこと。庭から空を見上げるといつも同じ位置に赤い星がじっと留まっていた。果たしてあれが火星であったのかどうか確認はしていないが、そういうニュースがあったので勝手にそれがそうだと思う事にしていたのだ。『吉左右』(きっそう)というのは辞典を眺めていた時に見つけた言葉で、『善悪・成否どちらかの知らせ』または『よい便り』のこと。『雲』だから『黙々(もくもく)』とかバカバカしい遊びも入れている。

『おそらく高校時代に書いたと思われる断片から二行を取り出し』てBメロの作詞をした、と当時の日記に書いているが、今作では『過去の自分とのセッション』というのが一つのテーマになっていて、これもその一例。しかし全体的には『空に溶ける赤』と同じモチーフで作っている。それは私の身近で起きた事が動機なのだけど、完成したものを読み返してみると、まるで当時遠い国で起こっていた出来事について書いたかのようだった。あの国で起こっていたこと、それに関わった日本人のこと、毎日ニュースを見て感じた様々な思い、などはその後少しずつ言葉になってこのアルバムに収録される事となる。

歌から始まる曲に憧れていた。そして歌から始まるアルバムにも憧れていたのだった。

2005.1.5.

新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

アルバムを作り終えてからの脱力状態がまだ続いている。今回は特にひどいような気がする。要因の一つには、次へ行くためにはまず音源を買い換えないと、と思っている事があると思う。音源を変えるためにMacを買い換え、Macを買い換えたらソフトのアップグレードをしなければならない。昨年相当に貯金を頑張ったが、まだ足りない。早く次に行きたいのに行けないという焦りは、昨年一年間ずっとあった。まだ続くのかと思うとうんざりするが、目標額に到達するまでの間、歌詞の断片などを溜めておこうと思う。

『騒音に沈む針』全曲解説は近々始めたいと思います。

T O P